【新 当院の特長ある医療シリーズ 53】 犬のCT検査が必要になる場合とは ・・・

↑ 上の写真は、犬の頭のCT画像です。

◆ ★印の部分は、『腫瘍』です。 これは、レントゲンでは診断しにくい部位ですので、CT検査画像が有効なエリアです。

 

参照サイト:

https://00m.in/bScXw

 

◆◆◆ 画像診断が治療の分岐点になる理由

 

 

 

動物医療において、レントゲンや超音波検査は非常に優れた検査ですが、それらには「見えにくい限界」が存在します。

 

 

 

CT検査はその限界を突破し、体を数ミリ単位の「断面図」として描き出すことで、これまで見えなかった病変を浮き彫りにします。

 

 

 

■■ 今回は、どのような症状の際にCT検査が強く推奨されるのか、その具体的なメリットとともに解説します。

 

 

1. 慢性的な鼻水・鼻出血(鼻腔疾患の精査)

 

「鼻水が止まらない」「鼻血が出る」といった症状に対し、抗生剤などの内科治療を数週間行っても改善が見られない場合、CT検査は必須と言えます。

 

・ 検査の必要性:  鼻腔内は非常に複雑な細かい骨(鼻甲介)で構成されており、レントゲンではこれらが重なってしまい、内部の詳細な評価ができません。

 

・ CTでわかること:  鼻腔内の腫瘍の有無、真菌(カビ)による骨の融解、あるいは異物の混入などを特定します。 特に腫瘍の場合、脳との境界にある「篩板(しばん)」という薄い骨が破壊されていないかを確認することは、治療方針や予後を判断する上で極めて重要です。

 

 

 

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2. けいれん・ふらつき(中枢神経系の評価)

 

 

けいれん発作や歩き方の異常、麻痺などの神経症状が見られる場合も、高度画像診断の適応となります。

 

・ CTとMRIの使い分け:  脳や脊髄といった柔らかい組織の診断には、一般的にMRI検査が第一選択となります。 しかし、頭蓋骨の骨折や変形、あるいは緊急性の高い脳出血の確認にはCTが非常に有用です。

 

・ 検査の意義:  症状の原因が「脳そのものの構造的異常」にあるのか、あるいは他の要因(炎症や代謝性疾患)なのかを切り分けるために実施されます。 神経症状が主訴の場合は、CTだけでなくMRIとの併用、あるいはMRIへの切り替えを検討することもあります。

 

 

 

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3. 止まらない咳・呼吸状態の悪化(胸部疾患の精査)

 

 

レントゲン検査で胸部に異常な影が見つかった際、あるいは症状があるのにレントゲンでは原因が特定できない際、CT検査が真価を発揮します。

 

 

・ 検査の必要性:  肺の深部や、心臓の裏側に隠れた小さな病変は、レントゲン(平面)では見落とされるリスクがあります。

 

 

・ CTでわかること:  数ミリ単位の小さな肺転移、縦隔(胸の中央部)のリンパ節腫大、気管支の微細な構造変化などを立体的に把握できます。 これにより、肺炎なのか腫瘍なのか、より確度の高い鑑別が可能になります。

 

 

 

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4.  腫瘍のステージングと手術計画(術前検査)

 

体に腫瘍が見つかった際、その腫瘍が「どこまで広がっているか」を知ることは、手術の成否を分ける最も重要なステップです。

 

 

・ 検査の意義:

 

1.  転移の有無: リンパ節や遠隔臓器への転移を全身網羅的に確認(ステージング)します。

 

2.  血管との関係: 腫瘍が周囲の太い血管を巻き込んでいないか、手術で安全に切除できる範囲はどこまでか、という「術前シミュレーション」を精密に行うことができます。これにより、手術時間の短縮とリスクの軽減に繋がります。

 

 

・ 麻酔下での同時検査:より確かな診断へ

 

CT検査は全身麻酔下で実施するため、この機会を最大限に利用して、画像診断以上の「確定的な証拠」を得るための処置を併せて行うことが可能です。

 

•  組織生検: CT画像で病変の位置をピンポイントに特定しながら、組織を採取します。

 

•  気管支洗浄(BAL): 呼吸器症状がある場合、肺の深部を洗浄して回収した液から、感染症や細胞の異常を詳しく解析します。

 

画像(CT)と病理(組織検査)の両面からアプローチすることで、迷いのない治療計画を立てることが可能となります。

 

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

CT検査は、決して「過剰な検査」ではありません。

内科治療で反応が乏しい場合や、重大な疾患の疑いを拭いきれない場合、CT検査によって得られる情報は、その子の命を守るための「羅針盤」となります。

 

 

当センターでは、CT検査の必要性を慎重に判断し、検査によって何が判明し、その後の治療がどう変わるのかを飼い主様に丁寧にご説明することを大切にしています。

 

 

大切なご家族の健康について、不安な点があればいつでもご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

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