【こんな症例も治りますシリーズ 838】『 セカンドオピニオン診療 : 腹水=FIP?と思ったら心臓が原因 』も適切な診断と治療でコントロールします

 

猫 サイベリアン 5ヶ月齢、(未避妊手術済)

 

 

【 2日前から元気がない、ご飯を食べない 】とのことで来院された猫さんです。

 

 

◆◆ 前日に別の動物病院を受診し、レントゲン検査と超音波検査を行ったところ、胸水と腹水が確認されたそうです。

 

 

■■ FIPが疑われたケース

若い猫で腹水が見つかると、まず疑われる病気の一つが猫伝染性腹膜炎(FIP)です。

 

■ 実際にその病院でも『 FIPの可能性が高い 』と説明を受け、FIPのPCR検査も提出されていました。

 

■ 飼い主さんは『 もしFIPならすぐに治療を始めたい 』と考え、当院へ来院されました。

 

 

 

■■ 当院で改めて検査

 

■ 当院では、まず心臓の超音波検査(心エコー)などを行いました。

すると、心臓の動きがかなり弱くなっていることが分かりました。

 

■ また、他の検査から『 FIPの可能性が低い 』と診断しました。

 

■ 心臓はポンプのように血液を全身に送り出していますが、この猫ちゃんでは心臓のポンプ機能が低下している状態でした。

 

■ このような状態は『 拡張型心筋症様の状態(DCM phenotype) 』と呼ばれます。

 

 

 

■■ 心臓の病気でも腹水はたまる

 

■ 心臓の働きが弱くなると血液の流れが滞り、胸水や腹水が溜まることがあります。

 

■ 今回の猫ちゃんも、心臓のポンプ機能低下によるうっ血が原因で胸水や腹水が溜まっている可能性が高いと考えられました。

 

 

 

◆◆ 治療開始

 

■ そこで当院では

 

・ 利尿剤(体に溜まった水分を減らす薬)

・ 強心薬(心臓の働きを助ける薬)

による治療を開始しました。

 

 

■ すると数日後、飼い主さんから

『 ご飯をしっかり食べるようになりました 』
と連絡がありました。

 

 

■ さらに、体調を崩してから出ていなかった便も出たとのことでした。
少しずつですが、体調が改善してきている可能性があります。

 

 

 

■■ 若い猫では回復する可能性も
若い猫でこのような心臓の状態が見られる場合、

 

 

・ 心筋炎

・ タウリン不足

・ 一時的な心筋障害

などが原因となることがあります。

 

 

■ これらの場合、治療によって回復するケースもあります。

 

 

■ 今後は心臓のエコー検査、一分あたりの呼吸数、食欲や元気などを確認しながら慎重に経過を見ていきます。

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

■ 若い猫で元気がない、腹水がある場合、FIPが疑われることが多いですが、心臓の病気が原因のこともあります。

 

 

■ 適切な検査を行うことで治療につながるケースもあります。

気になる症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。

 

 

 

獣医師 伊藤雅志

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