【こんな症例も治りますシリーズ 656】 『 セカンドオピニオン診療: 他院から転院してきた 難治性タンパク漏出性腸症 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の腹腔内のエコー検査写真です。

■ 中心部に、黒色部分がありますが、これは『腹水』です。

■ その黒色部の上の白色部分は、『蛋白漏出性腸炎の小腸像』です。

■ もっと拡大してみると、小腸の長軸に垂直方向の『縞状の白色ライン』が多数見えます。 これを『ゼブラパターン』と言います。

 

 

犬 トイプードル 11歳 オス(去勢手術済み)

 

【 他院で、タンパク漏出性腸症の治療を行っているが経過がよくない 】ということで来院されました。

 

 

 

◆◆ 血液検査をしてみると、総蛋白が2.8g/dl、アルブミンは1.5g/dlしかありません。

 

 

■ 低タンパク血症です。

 

 

 

■■ 慢性下痢もあり、やはり『 タンパク漏出性腸症 』が疑われました。

 

 

 

■ 画像検査を行うと、瀰漫(びまん)性に小腸壁の肥厚があり、また腹水も出ています。

 

 

 

★ 血液中のアルブミンというタンパク質は、その働きとして浸透圧による血管中の水分保持があります。

 

 

 

★ よって低くなってしまうと、血管中の水分が腹水になってしまったり、胸水になってしまったりします。

 

 

 

■ 輸血も視野に入れる数値ですが、元気食欲はあったため、ステロイド剤の増量と利尿剤を処方し、まずは経過をみることとしました。

 

 

 

■ 2週間後、だんだんと腹部が膨満してきており、血中アルブミンは0.8g/dlまで下がって来てしまっていました。

 

 

 

 

◆◆ 積極的な治療介入が必要な状況であったため、まずは輸血を行う事としました。

 

 

■ 貧血はなかったので、全血血液を遠心器にかけ、『 血漿輸血 』を行いました。

 

 

■ その結果、アルブミンは1.3g/dlまで上昇してくれました。

 

 

 

 

■ さらに免疫抑制剤を変更し、食事管理も変えていく事にしました。

 

 

◆◆ こういった難治性のタンパク漏出性腸症の場合、超低脂肪食(ウルトラローファット)と呼ばれる食事内容が有効です。

 

※ 内容は『 ゆでた鳥のササミ、ゆでジャガイモ 』です。

 

※ これだけに押さえれば、脂質は1-2%に抑えられます。

 

※ 療法食の低脂肪食は脂質4-5%程です。

 

※ タンパク質:脂質=1:3となるように作ります。

 

 

■ これだけではビタミンが不足するので、ビタミン剤を添加することも必要です。

 

■ カロリー計算をしっかり行い、食事指導して2週間後、血中アルブミンは2.6g/dlまで上昇してくれました!

 

 

■ 腹水もしっかり無くなっています。

 

 

■ ハンドメイドの超低脂肪食だけでは、長期管理はできません。

 

 

■ 徐々にドライフード(低脂肪)を混ぜ合わせ、量を調整していくことが必要です。

 

 

★ また腎臓病を悪化させることもあります。

 

 

 

 

■ 少しづつステロイド剤と免疫抑制剤を減薬(漸減)しているところですが、血中アルブミンは下がらず、調子もいいとの事です。

 

 

■ 今後も慎重に診察していきたいと思います。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

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