【こんな症例も治りますシリーズ 618】 『 犬の心基底部腫瘍 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の胸部レントゲンです。

■ 中央にある白い部分は、心臓を仰向けにしたレントゲン画像です。

■ その白い部分の中で、物差しでサイズを測っている部分が『心基底部腫瘍』です。

 

参照サイト:

https://00m.in/bJXHw

 

【 たまたま定期検査で撮影したレントゲンで異常が見つかった 】というワンちゃんです。

 

 

◆◆ 胸部のレントゲンを見てみると、気管が右側に変異しています。(物差しでサイズを測っている部分の左側に黒いラインが見えます。 ここが気管です。)

 

 

■ 『 心臓腫瘍の可能性 』があります。

 

 

 

■ 心臓腫瘍は、犬で発生頻度は低く、症状がないため、生前確定診断は難しいことが多いです。 胸部レントゲンや心臓エコー検査で、偶発的に見つかる事が多いです。

 

 

 

■ 心臓腫瘍は、発生部位によって、以下の腫瘍が考えられます。

 

 

 

 

1)心基底部: ケモデクトーマ、異所性甲状腺癌

  ※ 心基底部とは、心臓の先端部の反対の幅が広い部分の、主として大動脈弁口の周囲を言います。

 

 

2)心臓右房、右心耳: 血管肉腫

 

 

3)心臓左側: 転移性腫瘍(リンパ腫等)

 

 

 

■ この子は、レントゲンやエコー検査から『 心基底部を発生とする腫瘍 』と判断出来ました。

 

 

 

■ 重要な血管が絡んでいる腫瘍なので、切除手術は残念ながらできません。

 

 

 

■ この腫瘍から出血する可能性があり、すると心タンポナーデ(心嚢膜内に血液が貯留し、心不全を起こすこと)という状態から、症状が急変する可能性があります。

 

 

 

■ 姑息的治療としては、心嚢膜切除が適応です。

 

 

 

■■ しかし、飼い主様と相談し、内科管理をしていく事になりました。

 

 

■ 抗がん剤による余命の延長が研究報告されており、その薬を使用していくことになりました。

 

 

 

■ 腫瘍が心臓内腔に出てくると、血栓を作って血管などに詰まってしまう可能性もあり、今後も注意深く診療していきたいです。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

046-274-7662

photo.fahtakahashi@gmail.com

 

 

 

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