【こんな症例も治りますシリーズ 597】 犬の『 歯の破折(折れた事) 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、このワンちゃんの歯の肉眼写真です。

■ 向かって左側の奥歯が割れて中心部が赤くなっている状態が分かります。

■ このような破折を平板破折とも言います。

 

 

犬 柴犬 3歳 オス(去勢手術済み)

【 鹿のツノをかじっていたら痛がった。 他院では様子を見る様に言われた 】という事で来院されました。

 

 

◆◆ 口の中を診てみると、歯が折れて歯髄という『 歯の中心部分の神経 』が見えて、露髄していました。 その歯は、右上顎の臼歯でした。

 

 

■ もう少し詳しく整理して説明しますと、まず『 露髄 』とは、歯の神経(歯髄)が露出した状態をいいます。

 

 

 

 

 

 

★ 露髄していると、歯の神経が細菌感染を起こし、化膿してしまいます。

 

 

 

★ 破折(歯が折れること)してから72時間以内であれば、残った歯の神経を保護し、根管治療を適切に行って破折した歯を温存することも出来ますが、この子は3日間以上という時間が経ち過ぎていました。

 

 

 

 

■ このような場合は、抜歯処置が必要です。

 

 

◆◆ 後日、全身麻酔下で適切な抜歯処置を行いました。

 

 

■ 対象の歯は、口腔内の後方の太い歯で、歯の根本が三本ある『 三根歯 』ですので、動物用歯科治療ユニットのコントラアングル高速バーで歯を分割し、適切に抜歯を行いました。

 

 

 

■ 術後に歯科用レントゲンで、しっかり抜歯出来ていることも確認し、骨補填剤を充填して歯科用縫合糸で縫合を行いました。

 

 

 

★ 抜歯が上手に出来ていないと、残根歯が歯科用レントゲンに映りますが、今回は綺麗に抜歯が出来ており、大丈夫でした。

↑ 上の写真は、このワンちゃんの歯科レントゲン写真です。

■ 左側が『抜歯前』で、右側が『抜歯後』です。

■ デジタル歯科レントゲンなので、とても微細な構造が分かります。

 

 

 

■ しばらくは流動食を食べて、縫合部の癒合が出来るまで加療を行う必要があります。

 

 

■ しっかり経過を見ていきたいと思います。

 

 

獣医師 増田正樹

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