【こんな症例も治りますシリーズ 596】 『 猫の高分化型消化器型リンパ腫【シリーズ565】  その2 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、正常の小腸と消化器型リンパ腫の小腸の超音波検査画像です。

■ 左の写真は、消化器型リンパ腫ですが、正常五層構造が失われています。

■ 右の写真は、正常の空腸(小腸)断面の超音波検査画像です。
五層構造がハッキリと見れます。

左から順番に、
空腸 jejunum
漿膜 serosa
筋層 muscularis
粘膜下組織 submucosa
(粘膜下層)
粘膜 mucosa
空腸内腔 lumen
です。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3XFYnt6

https://bit.ly/3ZZrgBU

 

猫 アメリカンショートヘアー 15歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 下痢が治らない 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ このネコちゃんの場合、FNA(細胞診)により腹腔内リンパ節を細胞学的に調べたところ、その検査で、【高分化型消化器型リンパ腫】と診断されたことにより、クロラムブシルとステロイドの内服で治療を開始しました。

 

 

 

 

 

■ 治療を始めて投与1週間目、少し下痢も落ち着いてきたと、前回のブログではお話しました。

 

 

■■ 高分化型消化器型リンパ腫は、適切な治療を行えば、高い確率(85%以上)で症状の改善が得られると言われており、病状や副作用(骨髄抑制・嘔吐・下痢などの消化器症状)の有無を検診し、約1ヶ月間、症状(食欲低下・嘔吐・下痢など)が消失した場合に完全寛解と判断します。

 

 

 

■ ただ、一方で、適切な治療によって寛解=生活の質(QOAL:クオリティオブアニマルライフ:動物の生活の質)を落とすことなく寿命を全うできる可能性がありますが、完全に休薬できること(完治すること)は稀と言われています。

 

 

 

 

 

◆◆ さて、今回の症例では、幸い、抗がん剤(クロラムブシル)とステロイド剤の内服による副作用も見られず、治療開始1週間後から下痢もなく、食欲・体重の増加が見られ、治療開始4週間後には、腹部エコーで腹腔内リンパ節の縮小(12ミリ→3.5ミリ)も認められたことより、完全寛解と判断することができました。

 

 

 

■ 今後は、抗がん剤とステロイド剤の減量をすすめていく中、QOALを維持し、できれば完全なる両薬剤の休薬=完治を目指していきたいと考えています。

 

 

■ そのためには、免疫力をアップさせるためのオゾン療法等、当院独自の治療法をご提案し、動物さんと飼主様の健康と幸せを一緒になって願っていければと思います。

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

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