【こんな症例も治りますシリーズ 561】 犬の『 総胆管胆石閉塞による黄疸 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、胆管閉塞胆石です。 イラストは、総胆管胆石の模式図です。

◆ 左の写真は、総胆管胆石を摘出しているところで、銀色の器具の先端にある『黒色物』が胆石です。

◆ 中央のイラストは、袋状の胆嚢から出ている胆管が集まった『総胆管』に『胆石が詰まっている』状態を示しています。

◆ 右の写真は、摘出した『総胆管胆石』です。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3GxGu9L

 

犬 ポメラニアン 12歳 メス(避妊手術済)

 

 

【 1週間位吐き気が続き、食欲もなくなった 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

◆◆ 結膜や口腔内の粘膜が、うっすらと黄色味を帯びていました。

 

■ 早速血液検査をすると、肝酵素群の数値が顕著に上昇していました。

 

■ 腹部エコー、レントゲンでは、肝臓の胆道が集まって十二指腸に胆汁が流れ出る『 総胆管に胆石が詰まっている 』状態が確認できました。

 

 

 

★ もう少し細かく説明すると、肝臓で作られた胆汁が濃縮、貯留される部分を胆嚢と言い、そこから十二指腸に流れていく管を総胆管と言います。

 

 

★ その総胆管に直径8.5mmの胆石が詰まって胆管閉塞を起こし、黄疸が出てしまったようです。

 

 

 

■■ 閉塞を起こしている胆石摘出手術の事前準備を行い、翌日に手術を実施しました。

 

 

■ 開腹すると、胆管の周りは、肝臓や消化器と脂肪組織や大網(腹膜の一部)などの癒着が激しく見られ、今までにも総胆管が裂けては再度治っていた可能性がわかりました。

 

 

 

★ 一般的には知られていませんが、『 胆嚢に亀裂が入って胆汁が漏れて、再度治っている 』症例は多いです。 開腹してみると、胆嚢への消化器や肝臓や大網(腹膜の一部)の癒着が分かるのです。

 

 

 

◆◆ このまま胆石摘出手術をせずにいた場合、肝不全になり亡くなってしまったかもしれません。

 

 

 

■ この子は、今はまだ入院中ですが、このまま快方に向かってくれることを、積極的な治療を行いながら願っています。

 

 

■■■ 犬、猫は吐きやすい動物なので、嘔吐が必ずしも重大な病気とは言えないですが、食欲も元気もない場合は『 様子を見ずに来院 』してください。

 

 

 

獣医師 新井澄枝

 

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