【こんな症例も治りますシリーズ 527】 猫の鼻腔リンパ腫 も CTを活用して適切な診断と治療で治します

上の写真は、鼻腔リンパ腫のネコちゃんの顔です。 ビフォーアフター。
■ 左は、鼻が腫れています。 治療前です。

■ 右は、鼻の形が正常になっています。 治療後です。

 

猫 ミックス猫 8歳 オス(去勢済み)

 

 

【 1ヶ月前から、左の鼻から鼻汁と出血があり、ここ1週間で鼻が腫れてきた 】ということで来院された猫ちゃんです。

 

 

◆◆ 診察で拝見すると、慢性の鼻炎のような症状ですが、片側の鼻からの出血も伴い、外側から見る姿の変化まであるという事は、第一に腫瘍を疑います。

 

 

★ しかし、猫ちゃんでは感染によっても起こります。 特に、クリプトコッカスという真菌(カビ)の感染で、鼻周囲に肉芽腫を作る場合があるのです。

 

 

 

■■ 今回のような鼻の精査としては、CT検査が最適です。 鼻内部の腫瘍の形成、骨の融解、ある程度の脳への浸潤も判断する事ができます。

上の写真は、鼻腔リンパ腫の猫ちゃんのCT画像です。

■ 眼と眼の間にある鼻は、CT画像では、『通常箱状の黒色の部分が2つ見える』のですが、向かって左側の箱には、白色の腫瘍が見えます。

■ しかも、左右の箱の中央にある『鼻の中央の縦骨』が、腫瘍に圧迫されて右側に移動しています。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3As2gJ1

 

 

■ CT検査と同時に、病変部の採材として、ストロー生検をすることとしました。

 

★ 細いストロー状の管を鼻腔に差し込む事で、鼻内部の病変部を取り、病理組織検査を行います。

 

 

★ CT検査と同時に行うと、どれくらいストロー(医療用の管)を差し込むと病変部が取れるか判断する事ができます。

 

 

■ また、同時に真菌やその他の感染を考慮し、鼻汁の培養検査を行いました。

 

 

 

■■■ 結果として、『 リンパ腫の診断 』がつきました。

 

 

■ 猫の鼻腔内腫瘍は、上皮系細胞腫瘍(腺癌、扁平上皮癌)とリンパ腫が多く発生します。

 

 

■ 猫のリンパ腫はほとんどの場合が『 猫白血病ウイルスと関わり 』がありますが、鼻腔リンパ腫の場合は陰性である事が多いです。

 

 

 

 

■ 鼻腔リンパ腫の場合、治療としては放射線療法、抗がん剤を用いた化学療法があがります。

 

 

■ 同時に行った方が、治療成績は良いのですが、動物の負担を考え、飼い主様と相談した結果、多剤併用療法である抗がん剤を用いた化学療法(CHOPベースのUW-25プロトロール)を行う事としました。

 

 

■ 抗がん剤治療の2週間目で、早くも外側から見る姿の変化が無くなりました! 要するに、『 外から見た腫れが無くなりました 』と言う事です。

 

 

 

■ これからも、副作用に気をつけて、治療を行なって行きたいと思います。

 

 

 

※ 当院には、抗がん剤(化学療法)ではない、副作用が極めて少ない『 自然医学療法 』でのリンパ腫治療も行っております。 安心してご相談ください。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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