【こんな症例も治りますシリーズ 494】 猫の珍しい膵嚢胞(膵臓の水泡性のシコリ) も適切な診断と治療で治します

上の写真は、猫の膵臓のCT検査画像(右)とエコー画像(左)です。
★ 矢印の部分が、複数の再発性膵嚢胞です。
★ 通常は、膵臓は嚢胞を作ることが無い臓器です。

 

 

参照サイト:

https://bit.ly/3Kt35Us

https://bit.ly/3DZ1hjn

 

猫 ミックス猫 8歳 オス (去勢手術済み)です。

 

【 1週間前から嘔吐している 】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ 『 血液検査を行ったところ、異常は有りませんでしたが、レントゲン検査で上腹部に塊状病変を他院様で指摘 』され、CT検査を希望されての来院でした。

 

 

■ CT検査を行ったところ、十二指腸の横の膵臓に塊状病変がありました。

 

 

 

★ また膵臓周辺はモザイクパターンという、炎症を示唆する所見がありました。

 

 

 

 

■■ CT検査では、血管造影剤を用いて撮影を行いますので、造影前、造影後を見比べて診断する事で、診断確率が上がります。

 

 

★ 具体的には、CT検査はそのままの状態で撮影をまず行い、その後、造影剤を血管に注入し、何度か撮影を行います。 造影剤がどの様に流れているか確認する事で、その部位の血行動態(血の流れの状態)を確認する事が出来ます。

 

 

■ 今回の猫ちゃんは、造影前後で塊状病変のCT値(X線吸収係数)が変化していません。 つまり血行動態(血の流れの状態)に差がありません。

 

 

■ また、シコリのCT値が低値であり、塊状病変の内容が液体であることがわかりました。

 

 

 

★ ちょっと説明が難しいでしょうかね。 要するに、私達は、このように手順を踏んで、原理原則に従ってCT検査の診断を行っている事だけ分かって下されば良いです。

 

 

 

◆◆ この猫ちゃんは、『 膵嚢胞 』と診断しました。

 

 

■ 膵嚢胞は、膵炎の併発症、もしくは続発症で起こります。 悪性ではない病変です。 しかし、症状が強い場合は外科的な切除を行います。

 

 

★ 当院には、血管シーリングマシンの上位機種があるので、膵臓の手術を行う時には『 安全に、あっという間に切除できます 』。 飼主様も動物さんも、ご安心頂けると思います。

 

 

■ 追加精密検査としてFPLI(猫の膵特異リパーゼ)の測定を行った所、やはり高値でした。 これは、『 膵炎 』を示しています。

 

 

 

★ そこで、まずは内科的に治療する事としました。

 

■ 静脈点滴、制吐剤、新しい膵炎治療薬、他にはドイツ自然医学療法も取り入れました。

 

■ その結果、入院3日後には自力で食事を食べてくれるようになりました。

 

 

★ 膵嚢胞は、一部が破れて周囲に癒着を起こしてしまう事があるので、定期的なモニター検査をお勧めしています。

 

 

 

■ 今回は、CTを撮影した事で外科的な選択を避ける事ができ、治療に結びついた症例でした。

 

 

★ 動物病院によっては、『 超音波検査機器の精度が悪く、詳細な診断が不可能な難しい 』、『 一人の獣医師の病院なので結果が分かっても、その次の手術や治療が難しい 』とお悩みの先生方もおられます。

 

 

 

 

★ 当院は、そのような先生方にも協力させて頂き、貴重な命を大切にケアさせて頂く事が出来ます。
『 安心して当院にご連絡下さい 』

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

 

 

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