【こんな症例も治りますシリーズ 422】 犬の心臓病による肺水腫 も適切な診断と治療で治します

ワンちゃんの肺水腫は、酸素が体内に回らず、苦しくなるので、酸素を沢山吸わせてあげています。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3v7VjYf

 

 

犬 ポメラニアン 15歳 メス(避妊手術済)

 

【 夜咳が出て、元気・食欲が無くなった 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

◆◆◆ 来院時も咳をして、舌の色が紫色で呼吸が苦しそうな様子でした。

 

■ このワンちゃんは、もともと僧帽弁閉鎖不全症という心臓の病気で通院されていました。

 

■ 僧帽弁閉鎖不全症は、老齢の小型犬での発症が多い心臓の病気です。 心臓には4つの部屋(左心房、左心室、右心房、右心室)があり、このうちの左心房と左心室の間に位置する僧帽弁(血液を送り出すために開いたり閉じたりする機能を持つ弁)が、なんらかの原因で変性し、弁が完全に閉まらずに血液が逆流してしまうことで、心臓に負担がかかってしまう病気です。

 

 

■ さらに心臓の負担が耐えきれなくなると、うっ滞した血液が肺へ逆流して、肺への負荷が高まり肺水腫へと進行してしまいます。

 

 

◆◆◆ そのため、このワンちゃんには心臓の機能を改善させるお薬が処方されていました。

 

 

### しかし、お話を聞くと、そのお薬を飲ませるのが苦手で、決められた量のお薬を飲ませられていませんでした。

 

 

 

◆◆◆ そこで、まずレントゲン検査、超音波検査、血圧測定をさせて頂きました。

 

■ レントゲン検査では肺に水が溜まってしまっている影が認められ、超音波検査では僧帽弁における血液の逆流がみられました。 また血圧も高い状態でした。

 

■ 緊急入院となり、ICUで酸素供給を始め、肺に溜まった過剰な水を体外へ排出させる為に利尿剤と、肺への負担を軽くするために血圧を下げるお薬の点滴を始めました。

 

 

■ しばらくするとオシッコも出て、血圧も下がり始め、翌日のレントゲン検査では肺水腫が改善され、食欲も出てきました。 そして、3日後には元気に退院することができました。

 

 

◆◆ 今後は利尿薬治療による腎機能障害のチェックを定期的にしながら、心臓のケアをしていくことになりました。

 

 

### 退院後の問題は、ご自宅での内服治療ですが、今は色々な方法がありますので、飼主様に紹介をさせて頂き、とにかく試して頂く事に致しました。

 

 

 

■ 肺水腫の代表的な赤信号は咳です。 心臓病のワンちゃんをお持ちの飼い主様で、息苦しそうにして咳を仕出したら様子を見るのではなく、直ちにご来院ください。

 

 

獣医師 天野雄策

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