【こんな症例も治りますシリーズ 397】 単純でないかもしれない?! オシッコトラブル も適切な診断と治療で治っています

猫ちゃんは、オシッコトラブルが多いので、多くの水を飲ませましょう。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3iGpPmP

 

 

ネコ 5歳 オス(去勢未実施) です。

【 オシッコをしぶる 】との事で来院されたネコちゃんです。

 

 

★ オス猫で、オシッコが出にくい!!! と言う情報を診察前に聞くと、私達獣医師の頭の中には【 命にかかわる病名が、病気のトップリスト 】の中に加わります。

 

★★★ 何の病名か分かりますか? これは、最後に【正解】を言いますね。

 

 

■ 今回は、まずレントゲン検査と尿検査をさせて頂きました。 レントゲン検査では特別な異常所見は見られませんでしたが、尿検査では顕微鏡で覗くとストラバイトという膀胱結石の結晶が見られました.

 

■ ストラバイト結晶は、ネコちゃんの尿がアルカリ性になると出きやすくなる結晶で、食事や膀胱炎が原因によりできる尿石症の一つです。 これが原因で、オシッコが出しづらくなったと考えられました。 しかし、病気と言うのは、一つだけの原因で起こっているとは限りません。

 

 

★★ 最近は、排尿しづらい病気の【 尿結石が原因でないタイプ 】も増えています。 何だと思いますか? これも、最後に正解を出しましょう。

 

■ 尿石症とは、オシッコが腎臓で作られて体外に排泄されるまでの尿路(尿管→膀胱→尿道)に、何らかの原因でミネラル分が溶けきらずに石(結晶)ができて、血尿や頻尿、排尿困難などさまざまな症状を出す病気です。

 

■ 出来た場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。 その中でも尿管結石や尿道結石が原因でオシッコを全く出せなくなると、毒素を体外に排泄できず、ネコちゃんの命に関わる場合があります。

 

 

■ 尿石の種類には6種類ありますが、代表的なモノは、ストラバイト結晶の他に酸性のオシッコで出来やすいシュウ酸カルシウム結晶などがあります.

 

■ 幸い、ストラバイト結晶は尿をアルカリ性から中性にする特別な食事(処方食)によって溶かすことができます。 このネコちゃんの場合、処方食を2週間食べ続けることでオシッコの中の結晶もなくなり、オシッコをしぶる事も無くなりました。

 

 

■ 一方,シュウ酸カルシウム結晶(結石)は中性に戻しても溶けることはありません。 尿管結石、膀胱結石、尿道結石の場合,手術による摘出が必要になる場合が多いです。

 

 

■ 尿石症を予防するには、まずはおやつを控えたり、食事に気を付けてください。 また、新鮮なお水をしっかり与えて、結晶ができる前に尿によって出すことも大切です。 また尿石症がなかなか治らない動物さんや、繰り返す場合、前述の特別処方食があります。

 

■ 尿石症の早期発見には、日々のトイレの様子をよく観察することや、定期的な尿検査が有用です。

 

 

### さて、今回は2つの質問をしました。 正解をお答え致しましょう。

 

(1) オシッコが出ない時の【 命にかかわる病名 】。 何の病名か分かりますか?

 

⇒⇒⇒ それは、2つの病名にグループ分け出来ます。

 

 

一つ目は、【 尿路閉塞 】と言う病気です。 この病気の理由は、大きく分けて、1)異物が詰まる、2)腫瘍などで尿の通り道が塞がれる、です。

 

二つ目は、オシッコの姿勢は頻回しませんが、【 乏尿・無尿 】という、腎臓自体の病気です。 この病気の理由は、大きく分けて、1)急性の腎不全、2)慢性腎臓病の末期に起こる急性腎不全、の時期にオシッコの生産が出来なくなる事で起こります。

 

 

※ どちらにしても、気付くのが遅れると亡くなる事が多い病気です。

 

 

(2) 最近は、排尿しづらい病気の【 尿結石が原因でないタイプ 】も増えています。 何だと思いますか? 

 

⇒⇒⇒ 尿結石の次に多い原因は、【 膀胱の細胞屑(デブリス・栓子) 】で、3番目に多いのが【 膀胱がん 】です。

 

※ どちらにも、当院には良い治療方法があります。

 

 

■ オシッコに何か変化が観られてお困りの際は、当院までご相談ください。

 

獣医師 天野雄策

 

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