【こんな症例も治りますシリーズ 388】 ワンちゃんの典型的な症状が無かった膀胱結石 も 適切な診断と治療で治します

ワンちゃんの膀胱内に内視鏡を入れて、シュウ酸カルシウム結石を覗いた画像です。 トゲトゲしていて膀胱粘膜が傷付きますね。 膀胱炎の元になります。

 

参照サイト:

https://bit.ly/39kicQn

 

犬 チワワ 5歳 メス(去勢手術済み)

 

【 元気、食欲もあり、排尿に問題もないのですが、後肢に痛みがある 】という事で来院されました。

 

 

■ 通常通りに一般身体検査を行った後に、後肢などのレントゲン検査を行いました。

 

■ すると、偶然、膀胱内の結石を発見しました。

 

 

 

■ そこで、急遽【 膀胱結石の検査 】を追加する事にしましたところ、尿検査では尿沈渣にも結晶は見られませんでした。 尿のpHは7.5〜8.0で、ややアルカリ尿でした。

 

■ アルカリ尿ではストルバイト結石ができることが多いのですが、尿酸化剤や食事療法で結石を溶かすことができます。

 

 

 

■ ですが、このワンちゃんはストルバイト結石を防止する効果のある獣医師処方食をずっと食べていたことと、結石が複数個存在していたことより、膀胱切開による摘出を実施しました。

 

■ 膀胱粘膜は、ところどころに小さな白色の結節が見られました。 結石が、粘膜を刺激していたものと思われます。

 

 

■ 摘出した結石の分析結果は、シュウ酸カルシウムが85%、リン酸カルシウムが15%でした。

 

 

■ シュウ酸カルシウム結石は、食事療法では溶かすことができません。 また、結石の表面は棘状でしたので、このまま放置していたら膀胱炎もひどくなっていったと思います。

 

 

■ 今後はカルシウムの含有量の少ないフードを食べていってもらうことになりました。

 

 

■ また、後肢の痛みの原因は膝蓋骨脱臼でしたので、体重管理にも気をつけていきたいと思います。

 

■ 次回に後肢の痛みが再発した際には、ヒザのお皿(膝蓋骨)の脱臼の手術をしなくてはなりません。 膝蓋骨脱臼をそのままにしておくと、ヒザの中の靭帯である前十字靭帯が断裂する事や、関節炎が起こる事が多く、ホッポといてはいけない病気です。

 

 

※ さらに、前十字靭帯完全断裂は、放置しておくと内側後方の半月板損傷が起こりやすくなりますので、そこも手術で治してあげないといけない部分です。

 

 

■ 飼主様は、その点を充分に覚えておいた方が良いと思います。 悔いが残らないように。 ご不明な点がございましたら、当院に御来院頂きましてご相談下さい。 よろしくお願いします。

 

獣医師 新井澄枝

 

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