【 こんな症例が治ります シリーズ 199 】 犬のエバンス症候群 も 的確な治療で治します。

免疫介在性溶血性貧血のイヌ 口の粘膜が黄色くなっていますね~

イヌ 10歳 メス (避妊済)

 

【 お腹に虫刺されの様なものができて、それが段々広がってきた 】というワンちゃんです。

 

■ 来院されたワンちゃんのお腹をみてみると、虫刺されではなく、【紫斑】が出来ていました。 紫斑とは、皮膚の毛細血管(細かい血管)が皮膚の下で出血をしている状態です。

 

■ 紫斑が出来る原因としては、①強い衝撃(これは、人が転んでアオタンが出来るのと一緒です)、②血液凝固異常などです。

 

■ 今回のワンちゃんは、飼主様にお話を聞いたところ、外傷の可能性はなさそうだったので、血液凝固異常を疑い、検査を行うことになりました。

 

■■ 血液凝固異常とは、何らかの原因で出血が起こった時、身体はその出血を察知し、すぐに出血を止めるために様々なメカニズムを働かせるのですが、様々な原因でそのメカニズムが働かなくなる事を言います。

 

■ 今回のワンちゃんの場合、血液検査を行ったところ、血小板が“ゼロ”という状態でした。 血小板とは、血管が破れて出血した時に、まずその破れた場所を塞ぐために働く血液中の細胞成分の一つです。

 

■ その血小板が無くなっているために、内出血が起きていたのです。血小板がこのように少なくなる原因は、ITP(免疫介在性血小板減少症)やDIC(播種性血管内凝固)、骨髄の病気などがあります。

 

■ このワンちゃんの場合、血液検査以外の精密検査も行い、「ITP(免疫介在性血小板減少症)」を疑いました。 ITPとは、末梢の血液循環の中で、自分で自分の血小板を破壊してしまう(免疫の暴走)血液の病気の一つです。

 

■ ITPの治療を数日間集中的に行うため、入院治療を行いました。 入院中、定期的に血液検査を行っていったところ、3日目には血小板が少しずつ血液中にみられるようになってきました。 ところが、今度は赤血球数が減少してきました。

 

■ 状況から判断するに、免疫の暴走のターゲットが、血小板だけではなく、赤血球にまで及んでいると考えました。 つまり、ITP(免疫介在性血小板減少症)とIMHA(免疫介在性溶血性貧血)が同時に起きている「エバンス症候群」という状態になっていました。

 

■■ エバンス症候群は、非常に予後(医学上の、その病気がたどる経過と結末の見通し)が悪く、治療反応が乏しいと亡くなってしまう可能性が高い病気です。

 

■ ですので、急いで免疫抑制の治療をさらに強化し、治療を続けました。 ところが、貧血の進行は速く、日に日に血液濃度が下がっていきました。 輸血を検討しなければいけないかもしれないと思っていた5日目のところで、ようやく回復の兆しがみえました。

 

■ その後は、免疫抑制の治療のお薬で状況を見つつ、ゆっくりと薬を減量していく治療法に切り替えました。

 

■ エバンス症候群を発症して約5ヵ月、ようやく全てのお薬をストップするに至りました。

 

■ 最初は、治療反応が悪く、心配しましたが、ここまで回復してくれて本当に良かったです !!

 

■ 免疫のトラブルの病気は非常に時間も、労力も、正直お金もかかります。 しかし、長期間の治療を経て、ワンちゃんが元気になってくれると、本当に嬉しいです。

 

■ ITP(免疫介在性血小板減少症)は、食欲や元気はあって、紫斑だけ症状を示すことも多くあります。

 

■ どこかにぶつかった覚えがないのに、あざが出来ているとこの病気の可能性があります。

 

■ このような症状がみられた場合、すぐに病院に連れてきてください。

 

獣医師 小田原由佳

 

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