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犬 8歳 メス
【 突然血便が起こり、ウンチの後もおしりから血がポタポタ垂れる 】とのことで来院されました。
■ 普段は1日1回しかウンチをしないのに、症状が起こってからは1日4回、少しずつウンチをするのも気になるとのことでした。
この「ウンチの1回量が減り、回数が増える」という症状は、大腸が原因で起きていると考えられます。
■ レントゲンでは、予想通り大腸にガスが見られました。
ウンチを顕微鏡で見る検査では、腸内細菌のバランスが乱れ、「芽胞菌」と呼ばれる細菌が異常に増殖していることがわかりました。
■ この「芽胞菌」。 高温や消毒薬に対して耐久性の高い「芽胞」と呼ばれる構造を形作ることからそう呼ばれています。
■ 芽胞菌にも様々な種類がありますが、動物さんの腸で増殖しやすいのが、「クロストリジウム」と呼ばれる細菌の仲間です。
■ この「クロストリジウム」の仲間は、健康な動物さんの腸にも少量いることがありますが、ストレス・お食事・お薬などの影響により腸内細菌のバランスが乱れると、異常に増殖し、毒素を発して悪さをするようになります。
★ こうして血便や下痢が起こるのです。
■ この子は、点滴により毒素を流す手助けをした後、この「クロストリジウム」に効く抗生剤と整腸剤を飲んでもらうことにより、すぐに症状が落ち着きました。
症状が落ち着いても一定期間お薬を飲み続けてもらうことにより、悪い細菌をしっかりやっつけ、腸内細菌のバランスを整えました。
■ 下痢や血便…治るかもしれないと放っておくと、毒素を発する細菌が更に増殖してしまう恐れがあります。
早めに治療してあげることが大切なのです☆
獣医師 田中聖心