【こんな症例も治ります シリーズ320】 犬の悪性メラノーマ(悪性黒色腫)も的確な診断と治療でコントロールします。

赤丸の部分が口唇に出来たメラノーマです。

参照サイト:

https://bit.ly/2Q4ZmmG

 

犬 13歳5ヵ月 オス(去勢手術済み)

 

【 口唇にシコリが出来て、大きくなっている 】というワンちゃんです。

 

■ シコリがあった場合は、出来物に針を刺すことで細胞の形態を見る細胞診という検査を行うことが多いのですが、このワンちゃんの場合は、しこりの根元がとても細くなっていたため、糸で結紮してシコリ自体を病理組織検査に出しました。

 

■ すると、悪性黒色腫(悪性メラノーマ)という犬の口腔内に出来る悪性度の高い腫瘍であることが分かりました。

 

■ 悪性メラノーマとは、口腔内の骨に根を張るように浸潤し、どんどん大きくなり、呼吸困難や神経症状を呈すことのある腫瘍です。

 

■ しかし今回は口唇部に腫瘍が出来ていたため、早期に腫瘍を中心として口唇をできるだけ広く切除することで、腫瘍のコントロールを行う事となりました。

(口唇ではなく下顎骨寄りの場合は下顎骨部分切除と放射線治療が必要になることが多いです。)

■ また、悪性メラノーマ自体がシコリとして形が出来て、腫瘍があるとわかった段階で、40%の症例がリンパ節転移を起こしているため、転移しやすいリンパ節も同時に切除させて頂きました。

 

■ 病理組織検査にて、切除した端に腫瘍細胞が残っていることはなく、同時に切除したリンパ節にも悪性メラノーマの転移所見はないとのことでしたので、腫瘍自体は完全切除されていることがわかりました。

 

■ その後は再発に注意をしながら経過観察をさせて頂いております。

 

■ 犬の口腔内腫瘍は、歯周病がきっかけで発生するという報告があります。

口腔内腫瘍だと、ご飯が食べたいのに食べられなくなることで、栄養が足りなくなってしまったり、呼吸が苦しくなることで生活の質が下がります。

 

■ 口腔内腫瘍の発生する確率を少しでも下げるためにも、歯石除去など、口腔内の健康状態を日頃から高めていけるようにしていきましょう!

 

獣医師 新美綾乃

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