【こんな症例も治りますシリーズ 862】『 セカンドオピニオン診療: 耳を何度治療してもかゆい・・・ その原因、本当に細菌だけ? 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上のイラストは、犬の慢性外耳炎に『なぜ治らない症例があるのか』を図示しています。

◆ ポイントは、なぜ治りにくいのか を、 4つの要因で考えます。

◆ ① 一次要因 (直接の原因)⇒ ② 素因(起こりやすくする条件)⇒ ③ 二次要因(合併する感染)⇒ ④ 永続化要因(治りにくくする変化)の順で加算されると『 難治性 』になります。

 

 

犬  フレンチ・ブルドッグ 4歳 オス(去勢手術済)

 

 

【 耳をよくかく 】、【 頭を振る 】、【 耳が臭う 】という症状で来院しました。

 

 

 

■■ このような症状で動物病院を受診されるワンちゃんはとても多く、特にフレンチ・ブルドッグでは耳のトラブルがよくみられます。

 

 

 

◆◆ 来院までの経過

 

 

■ 以前から耳のかゆみが続いており、他院で抗生剤の投与や耳の洗浄を受けていましたが、かゆみはなかなか改善しませんでした。

 

 

 

◆◆ 当院で行った検査と処置

 

 

■ 当院では、まず耳の状態を詳しく調べるために、次の検査と処置を行いました。

 

・ オトスコープ(耳鏡:耳の奥をカメラで観察する器具)による耳道内の観察

・ 耳垢の培養検査(原因となっている菌を調べる検査)

・ 耳道をしっかり洗浄する処置

 

 

 

◆◆ 経過

 

 

■ 耳の奥まで状態を確認し、原因を調べたうえで適切な耳の中を専門的に洗浄を行ったところ、翌週の再診では耳をかく回数が大きく減り、かゆみもかなり改善していました。

 

 

 

◆◆ 耳が治っても『 原因 』は残っていることがあります

 

 

■ 耳の炎症は、細菌や酵母菌(マラセチア)が増えることで悪化しますが、それらは『 結果 』であることも少なくありません。

 

■ 特にフレンチ・ブルドッグでは、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、体質による皮膚バリア機能の低下などが背景にあり、耳の炎症を何度も繰り返すケースがあります。

 

■ そのため、耳の感染だけを治療しても、根本の原因が残っていると再発してしまいます。

 

 

 

◆◆ 今後の治療

 

 

■ 今回の症例では耳の状態は改善しましたが、体質的な要因が関与している可能性も考えられます。

 

■ 今後は耳の経過を確認しながら、必要に応じてアトピーやアレルギーなどの基礎疾患についても評価し、再発しにくい状態を目指して治療を進めていく予定です。

 

 

 

◆◆ 耳を何度も治療しているのに治らないときは

 

 

■ 耳の治療を繰り返しているのに改善しない場合は、原因を詳しく調べることが大切です。

 

■ 耳垢検査や培養検査、オトスコープによる観察を行うことで、適切な治療方針を立てられる場合があります。

 

■ 耳を何度もかく、頭をよく振る、治療しても再発を繰り返すなどの症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

 

 

 

◆◆ 本来は、『 耳の治療 』だけを繰り返すのは、遠回りです・・・

 

 

■ 耳を洗って、お薬を出して、良くなって、またぶり返す。 ⇒ これを何年も繰り返しておられませんか?

 

■ 細菌やマラセチアは、火事でいえば『 燃えている炎 』です。 その火をつけている『 火種 』は、アレルギーや皮膚バリアの弱さといった体質の側にあります。

 

★ 炎だけを消しても、火種が残っていれば、また燃えます。 ⇒ 繰り返す外耳炎は、耳だけの病気ではなく、皮膚の病気(アレルギー)のサインです。

 

★★ よって、2回以上ぶり返す外耳炎は、耳の治療と同時に、食物アレルギー・アトピー性皮膚炎の検査と、耳道そのものの状態(狭くなっていないか、硬くなっていないか)の評価まで進めた方が良いモノです。

 

 

 

◆◆ 『 繰り返す外耳炎 ⇒ 原因の検査 ⇒ \体質からの治療/ 』が世界では常識です。

 

 

 

 

獣医師 伊藤雅志

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