【こんな症例も治りますシリーズ 860】『 子猫ちゃんの痒くない脱毛 』も適切な診断と治療で治ります

↑ 上の写真は、皮膚糸状菌症(カビの感染症)の猫ちゃんの写真です。

◆ 青白く見える毛に『 皮膚糸状菌 』が感染しています。

■ 皮膚糸状菌症では、顔まわりや耳、足先などに、円形の脱毛がみられることがあります。 あるいは、全く円形脱毛が無いケースもあります。

 

『 ただの体質だと思っていた脱毛 ― 実は“カビ(皮膚糸状菌症)”でした 』

 

 

猫 マンチカン 4ヶ月齢 メス(未避妊)

 

 

今回は『 顔まわりの脱毛 』で来院された子猫ちゃんです。

【 痒がる様子はない 】、

【 子猫だから、こういう体質なのかな 】との事でご来院されました。

 

 

■ 子猫では皮膚病が多くみられますが、痒みが少ないからといって病気ではないとは言い切れません。

 

 

 

◆◆ 子猫の脱毛でまず考えること(鑑別診断)

 

子猫の脱毛では、

 

・ 寄生虫感染

・ 細菌感染

・ 真菌(カビ)感染

・ アレルギー

・ 外傷

 

などが考えられます。

 

 

 

■ その中でも、子猫で特に多いのが皮膚糸状菌症(カビの感染症)です。

 

 

■ この病気は痒みがあまり出ないことも多く、『 毛が抜けているだけ 』と思われて来院されるケースも少なくありません。

 

 

 

◆◆ 検査所見

 

 

■■ ウッド灯検査(特殊な紫外線ライトを当てる検査)

 

・ 脱毛部の毛が、特徴的に黄緑色へ蛍光を示した

 

※ この反応は、猫ちゃんで最も多い皮膚糸状菌であるMicrosporum canis(ミクロスポルム・カニス)の感染を疑う重要な所見です。

 

 

 

■■ 顕微鏡検査(毛を採取して観察する検査)

 

・ 真菌感染を疑う特徴的な所見を確認

 

■ これらの結果から、皮膚糸状菌症と診断しました。

 

 

 

◆◆ 治療

 

■ 皮膚糸状菌症は、猫ちゃんだけの病気ではありません。

 

■ 人にも感染する『 人獣共通感染症 』であるため、猫ちゃんの治療だけでなく、環境の管理も非常に重要です。

 

■ 飼い主様には、

 

・ 飲み薬による治療

・ 寝床やケージなど生活環境の清掃

・ 必要に応じた消毒

 

をお願いしました。

 

 

 

◆◆ 治療終了のタイミング

 

■ 症状が良くなったからといって、すぐに治療を終えてしまうと、再発してしまうことがあります。

 

 

■ 今回の症例では、

 

・ まずウッド灯で蛍光が消失したことを確認

・ その後、毛を採取して真菌培養検査(カビを培養して確認する検査)を実施

・ 培養検査で陰性を確認できたため、治療を終了

 

しました。

 

 

 

■■ この症例から分かること

 

■ 今回のポイントは、

 

『 痒くない脱毛でも、感染症が隠れていることがある 』

 

ということです。

 

 

■ また、皮膚糸状菌症は人にも感染するため、

 

・ 猫ちゃんだけを治療する

・ 環境だけを掃除する

 

では不十分な場合があります。

 

 

■ 治療と環境整備の両方を行うことが、早期の改善と再発予防につながります。

 

■ 臨床で重要な考え方

 

・ 痒みの有無だけで判断しない

・ 子猫の脱毛では、まず真菌感染を疑う

・ ウッド灯検査・顕微鏡検査・培養検査を組み合わせて確認する

・ 人への感染も考えて、環境管理まで含めて治療する

 

ことが重要です。

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

・ 子猫の脱毛では皮膚糸状菌症を重要な鑑別として考える

・ 痒みが少なくても感染していることがある

・ ウッド灯検査や顕微鏡検査が診断の手がかりになる

・ 人にも感染するため環境管理が重要

・ 治療終了は見た目だけでなく、培養検査で陰性を確認して判断することが望ましい

 

 

 

■ 『 痒がっていないから大丈夫 』『 子猫だからこんなものかな 』と思っていた脱毛でも、治療が必要な感染症が隠れていることがあります。

 

 

■ お顔や耳、足先などの脱毛が気になる場合は、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 土屋優希哉

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