【こんな症例も治りますシリーズ 858】『 パグの熱中症 ~ BOAS(短頭種気道症候群)が隠れていました ~ 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上のイラストは、短頭種症候群の頭部断面図です。

◆ 沢山の説明文が部位ごとに書いてありますが、呼吸経路が狭くなりやすい部位だとご理解ください。

 

参照サイト:

https://00m.in/VIbGO

 

犬  パグ 6歳 オス(去勢手術済)

 

 

【 朝から呼吸が速くて、苦しそう 】という症状で来院しました。

 

 

■■ 今回は、熱中症をきっかけにBOAS(短頭種気道症候群)が関与していると考えられたパグちゃんの症例をご紹介します。

 

 

 

◆◆ 来院までの経過

 

 

■ 朝から呼吸が速く苦しそうとのことで他院を受診されましたが、原因ははっきりせず改善しなかったため、当院を受診されました。

 

■ 来院時の体温は39.6℃で、激しいパンティング(ハアハアという速く浅い呼吸)と、異常な呼吸音が認められました。

 

 

 

◆◆ 検査で分かったこと

 

■ 胸部レントゲン検査では、肺炎や肺水腫などの大きな異常は認められませんでしたが、軟口蓋(のどの奥にある、やわらかい部分)の肥厚が疑われました。

 

■ さらに詳しくお話を伺うと、前日の夜はエアコンを切って過ごしていたことが分かりました。

 

■ これらのことから、BOASを背景に暑さが加わり、熱中症によって呼吸状態が悪化した可能性が高いと考えました。

 

 

 

◆◆ BOAS(短頭種気道症候群)とは?

 

 

■ BOASは、パグやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種(鼻の短い犬種)で多くみられる病気です。

 

■ 鼻の穴が狭い、軟口蓋が長い・厚い、気管が細いなどの構造的な問題により、空気の通り道が狭くなっています。

 

■ 犬はパンティングで体温を下げますが、BOASでは十分な換気ができません。

 

■ 暑さによってパンティングが増えるほど気道が腫れ、さらに呼吸が苦しくなるという悪循環に陥ります。

 

■ そのため短頭種は、熱中症を起こしやすい犬種として知られています。

 

 

 

◆◆ 治療

 

■ まずは冷却処置を行い、体温を下げながら呼吸状態を慎重に観察しました。

 

■ 冷却後はパンティングも徐々に落ち着き、呼吸状態は安定しました。

 

 

 

◆◆ ご自宅での注意点

 

・ 夏場だけでなく、気温や湿度が高い日は、エアコンで室温管理を行う

・ 肥満は呼吸への負担を増やすため、適正体重を維持する

・ 暑い時間帯の散歩や激しい運動は避ける

・ 症状が続く場合は、鼻孔拡大術や軟口蓋切除術などの外科治療も検討する

 

 

◆◆ まとめ

 

■ 短頭種では『 呼吸がうるさいのは普通 』と思われがちですが、実はBOASという病気が隠れていることがあります。

 

■ 早めに評価し、生活環境の改善や、必要に応じて外科治療を行うことで、呼吸の負担を軽減し、熱中症のリスクを下げられる可能性があります。

 

■ 気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

◆◆ 本来は、短頭種の『 呼吸がうるさい 』は、当たり前ではありません・・・

 

■ 『 パグだから 』『 フレンチ・ブルドッグだから 』『 いびきをかくのは、この犬種の個性 』と思われていませんか?

 

■ BOASの子は、生まれつき空気の通り道が狭く、いつも全力疾走をした後のような呼吸で毎日を過ごしています。

 

■ その状態のままで夏を迎えると、ちょっとした暑さでも熱中症を起こし、命に関わることがあります。

 

★ 狭い鼻の穴も、長く厚い軟口蓋も、飲み薬で広げることはできません。 ⇒ 構造の問題は、構造を治さないと解決しません。

 

★★ よって、BOASは、症状が軽いうちに(できれば若いうちに)、鼻孔拡大術・軟口蓋切除術などの外科治療を、上手な獣医師に依頼した方が良いモノです。

 

 

 

◆◆ 『 短頭種のいびき ⇒ BOASの評価 ⇒ \早めの外科治療/ 』が世界では常識です。

 

 

 

 

獣医師 伊藤雅志

 

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