【こんな症例も治りますシリーズ 676】 『 犬の非典型的な股関節脱臼(腹尾側脱臼) 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の股関節脱臼の仰向けにした時のレントゲン像です。

■ 左の写真は、今回の犬の股関節脱臼で、『大腿骨頭が腹側かつ尾側方向に脱臼』しています。

■ 右の写真は、よく見られる『大腿骨頭が背側かつ頭側方向に脱臼するタイプ』です。

■ 脱臼する方向により、右写真の『頭背側脱臼(発生率75%)』と左写真の『尾腹側脱臼(発生率25%)』に分類されます。 今回は、珍しいタイプの脱臼でした。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/xfCcl

 

 

 

犬 ポメラニアン 16歳 メス(避妊手術済み)

 

 

【 ソファーに飛び乗ろうとした時にキャンと大声で鳴いて後ろ足を痛がり、その後足を着けなくなった 】とのことで、来院されました。

 

 

 

◆◆ 来院時、左の後ろ足は挙上したままで、全く地面に着くことは出来ませんでした。

 

 

 

■ 早速レントゲンを撮影したところ、左の太ももの骨が骨盤からずれてしまっていました。

 

 

 

 

■ 骨盤の股関節脱臼の中でも、寛骨臼から下側(足先方向)に脱臼する『腹尾側脱臼』でした。

 

 

 

◆ このような股関節脱臼は手術せずに整復する方法があるので、まずはそちらを麻酔下で行ったところ上手にハマりました。

 

 

 

■ 当院では、股関節周囲の組織を傷めないようにするために、股関節整復を行う際に『 Cアームレントゲン撮影機器 』という『 術式を行っている際にライブ動画で患部のレントゲン画像が見れる 』機器を使います。

 

 

 

■ この機器を使うと、最小限の大腿骨頭の動きで股関節脱臼を整復できるので、その後の成績が良いです。

 

 

◆ 脱臼時には関節内の靱帯が切れてしまうため、再脱臼することも多いので包帯で固定して安静にしてもらいました。

 

 

 

 

 

■■ 何度も脱臼を繰り返す場合は手術をしなくてはなりません。

 

 

■ 1週間後、再脱臼もなく正常に歩行可能で一安心しました。

 

 

 

■ 再脱臼させないために、ジャンプをなるべくしないように見ていただくようお約束していただいて、今回の治療は終了いたしました。

 

■ 現在3週間が経過しましたが、とても元気で過ごされているとのことでした。

 

 

 

■ 元気すぎてジャンプしてしまうそうですが、ご家族の皆様で色々工夫されているようです。

 

 

 

■ ご高齢犬ですので、なるべく麻酔の処置は避けたいので気をつけていただきたいです。

 

 

 

獣医師 新井澄枝

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