【こんな症例も治りますシリーズ 667】 『 最近では少なくなった膀胱内のストルバイト結晶 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、オシッコの中に見えた結晶です。

■ 犬の幼齢の時に出やすい泌尿器系の結石の素です。

■ その名前は、結石の成分である【ストルバイト結晶】です。

 

参照サイト:

https://bit.ly/30cqS4E

 

 

犬 シーズー 2歳 メス(避妊手術済み)

 

 

【 健康診断 】で来院されました。

 

 

 

 

◆◆ このワンちゃん、年一回の健康診断を行うために来院されたのですが、食欲・元気もあり、血液検査、画像検査(レントゲン撮影やエコー検査)でも特に問題はありませんでした。

 

 

■ ところが、検査項目の一つである尿検査を行ったところ、顕微鏡検査により尿中に多数のストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結晶と、若干の細菌(グラム染色後)が認められました。

 

 

■ その他、尿pHは8とアルカリ性を示していましたが、潜血反応、尿中蛋白はいずれも陰性でした。

 

 

 

◆◆ ストルバイトは尿pHが7以上になると尿中のミネラルが結晶化しやすくなり、ストルバイト結晶が見られるようになります。

 

 

 

◆ このストルバイト結晶は尿路内の有機物(細菌等)と結合することにより、ストルバイト結石となっていきます。

 

 

 

 

◆ したがって、犬のストルバイト尿路結石症では尿路感染症を併発することが多く、ストルバイト尿路結石症の70%が細菌感染を伴っていると言われています。

 

 

◆ また、ストラバイトは年齢や性別差があり、若い、雌で多い傾向があります。

 

 

 

 

◆ 結石が、尿路に詰まりそうな大きさまでになってしまうと、通常は『 結石溶解のための食事療法 』で治しますが、結石が二層構造になっているなど溶解しにくい時には、最期は手術が必要となるので早期の診断と治療が重要となってきます。

 

 

 

■ 犬のストルバイト結晶は、尿路の細菌感染によって起こることが多いため、抗生物質療法を行う必要があります。

 

 

 

◆ また、それと同時に尿pHを下げ(6.5未満が目標)、ストルバイトを溶かすために、タンパク質・リン・マグネシウムを制限した療法食を与えることが重要です。

 

 

 

 

■ さて、このワンちゃんの場合も、尿中に細菌が確認されたこと、また尿pHを酸性にすることによりストルトバイト結晶を溶解する目的で、抗菌剤と尿ケアの療法食を処方することとしました。

 

 

 

 

◆ 2週間後、尿検査を行ったところ、尿中のストルバイト結晶はなくなり、細菌も認められなくなりました。

 

 

※ 2歳と言うことですので、ストルバイトだけの結晶か結石が多い年齢層ですが、前述したように中年齢以上の子ですと、『 ストルバイト結晶 + リン酸カルシウム結晶 』という二層構造の結石が出来るので、注意が必要です。

 

 

※ また、最近では、食事の主流がドッグフードになりましたので、『 ストルバイト結晶を予防出来るフード普及 』によって、『 この食事性の尿路結晶が少なくなって 』きています。

 

 

 

※ ですから、今回はメスと言う『 尿道が太く、バイキンが逆流しやすい 』要因から考えても、『 細菌性膀胱炎によっての、ストルバイト結晶発生 』と考えるのが妥当だと思います。

 

 

 

■ 『 今回は、大事に至る前にストルバイト結晶として見つけることが出来て本当によかった 』と嬉しそうに飼主様がお話下さいました。

 

 

 

◆ また、私たちにとっても、定期的な健康診断の重要性を再認識させられた症例でした。

 

 

 

■ 気になる点がございましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 泉 政明

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