【こんな症例も治りますシリーズ 647】 『 座り込んでしまう犬 実は・・ 』も 適切な診断と治療で治します

↑ このイラストは、腰が痛いのではありません。

■ 『 肛門腺が溜まったから、絞って! お母さま~ 』のサインです。

 

参照サイト:

https://00m.in/sBRJj

 

犬 チワワ 1歳 オス(去勢手術済)

 

 

【 数日前にトリミングに行ってから座り込んで動かない、後ろ足を気にする 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼い主様がお家でのご様子をビデオで撮影し、見せて頂く事が出来ました。
そのビデオの様子では、後ろ足よりもお尻を気にしているように見えました。

 

 

 

■ 病院内では歩くことができ、歩き方にも異常はみられず、身体検査上でも、後ろ足の動きに問題なく痛みがある様子も見られませんでした。

 

 

 

■ ただし、痛みがあっても病院内では我慢して痛みを隠してしまうワンちゃんも多いので、レントゲン検査も行いました。

 

 

 

■ 幸い、レントゲン検査上も問題ありませんでした。

 

 

 

 

■ 身体検査では、他に肛門嚢がぷっくり膨らんでおり、その個所を絞ってみると中から茶色い分泌液が大量に出てきました。 また、肛門の周りに皮膚炎を起こしていました。

 

 

 

 

※ 肛門嚢は、肛門の左右(時計に例えると4時と8時の位置)にある袋状の分泌腺のことで、この袋に肛門腺液が貯められていきます。

 

 

 

 

※ 元々、縄張りの印を付けるマーキングや、動物同士が個体の区別を認識するために臭いを放つ役割を持っている、とされている袋です。

 

 

 

※ 通常はうんちの時に一緒に排出されるのですが、生まれつき出にくい子、肛門周囲の筋力の低下により出しにくい子もいます。

 

 

 

 

※ 特にチワワ、トイプードル、マルチーズなどの小型犬、老犬は自力で肛門腺分泌液を出しにくい子が多いです。

 

 

 

 

 

 

◆◆ 肛門嚢液が溜まってしまうと、炎症を起こしたたり、破裂してしまう事もあります。 いわゆる、『 肛門腺化膿 』です。

 

 

■ このワンちゃんには肛門嚢をしっかり絞り、抗炎症剤の外用薬を処方しました。

 

 

■ すると徐々に皮膚炎も治り、お家でも元気に歩けるようになりました!

 

 

 

 

◆◆ 肛門嚢の炎症、破裂は定期的なお手入れで防ぐことができます。

 

 

■ 今までたまりにくかった子でも、前述したように加齢(老化)に伴い溜まってしまう子もいます。

 

 

■ ぜひ月1回のチェック、肛門嚢絞りで予防していきましょう!

 

 

 

 

獣医師 木島里衣

 

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