【こんな症例も治りますシリーズ 646】 『 クロストリジウム・パーフリージェンス様の下痢症状 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、芽胞菌のクロストリジウム・パーフリージェンスの立体画像(特殊画像処理済み)です。

■ 棒状の中の赤い部分は、『芽胞』です。

 

参照サイト:

https://00m.in/QT611

 

犬 ペキニーズ 7か月齢 オス(未去勢手術)

 

 

【 去勢手術 】のご予定で来院されました。

 

 

◆◆ 当日までのご体調は特に問題がなく、元気にご来院いただいたのですが、お預かりしてしばらくしてから院内で大量に下痢をしてしまいました。

 

 

■ 去勢手術は全身麻酔で行うため、万全の体調で臨んでいただきたく延期となりました。

 

 

■ ウンチの検査をさせて頂いたところ、芽胞菌という菌が大量に顕微鏡で確認出来ました。

 

 

 

 

★ 芽胞菌はその名の通り、芽胞という構造(菌の中の一部に、ワックス状のカプセルがあると思って下さい)を形成します。

 

 

★ 芽胞菌にもいろいろな種類があり、実は納豆菌もこの仲間です。

 

 

■ 顕微鏡では菌名までは特定できませんが、ワンちゃんではクロストリジウム(Clostridium)の増殖がよくみられます。

 

 

 

★ クロストリジウムという菌にも色々な種類があります。

 

 

■ 有名なものでは破傷風の原因である破傷風菌、からしレンコン事件のボツリヌス菌があります。

 

 

 

※ 芽胞は高温、凍結、乾燥、酸、アルカリなどに強いので、芽胞菌は熱や消毒により死滅しにくいという特徴があります。

 

 

 

 

 

◆ ワンちゃんの腸管の中にはのクロストリジウムが少量存在していることもありますが、ストレスや食事などの影響により腸内細菌のバランスが崩れ増殖してしまうと毒素を発生して急性の下痢を引き起こします。

 

 

 

◆ 今回のワンちゃんは、芽胞菌をやっつける抗生剤の内服薬を処方し、数日点滴に通っていただきました。

 

 

 

■ 1週間後には、すっかり元通りのコロコロウンチが出るようになりました!

 

 

 

 

■ 実はこのワンちゃん、去勢手術予定日の数週間前からワクチンやトリミングなど初めての経験をたくさんしていました。

 

 

 

★ 知らず知らずにそれがストレスとなっていたのかもしれません。

 

 

 

■ これから寒さが一層厳しくなり、人間の生活も忙しくなる年末年始に向け、動物さんのストレスに一層気をつけていきたいです。

 

 

 

 

獣医師 木島里衣

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