【こんな症例も治りますシリーズ 635】 『 犬の眼の ぶどう膜炎 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、眼の断面図で『犬のブドウ膜炎が発生する位置』を示しています。
◆ 向かって右側は、眼の表面です。

◆ 向かって左側は、眼の奥です。

■ 今回のワンちゃんは、真ん中のイラストのタイプです。

■ 詳しくは、本文を参照してください。

 

 

参照サイト:

https://bit.ly/3Ar1BF2

 

 

犬 チワワ 2歳 オス(去勢手術済み)

 

 

 

【 右眼が開けられない、涙が出ている 】という事で来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると、このワンちゃん、飼い主様が帰宅すると、うれしくて飛びついてきたのですが、その時、飼い主様の膝に顔が当てってしまい、キャンと悲鳴をあげたあと、左眼が開かなくなってしまったそうです。

 

 

 

■ それで直ぐ病院に連れてきたとの事でした。

 

 

 

 

★★ 『 ブドウ膜 』とは、目の一部である虹彩(こうさい)・毛様体(もうようたい)・脈絡膜(みゃくらくまく)の総称です。

 

 

 

■ このブドウ膜に炎症が起こった状態を、『 ブドウ膜炎 』といいます。

 

 

 

■ ブドウ膜炎になると、

 

① 目をしょぼしょぼさせる

② 涙をよく流すようになる

③ 白目の部分の充血

④ 目やにが増える、といった症状がみられます。

 

 

 

■ また、眼の痛みを伴いますので、

⑤ 眼を床にこすりつけようとするなどの行動を取るようになります。

 

 

 

 

■ さらに網膜にまで炎症が広がると、視力低下や失明に至る場合もありますので早期に診断・治療することが重要です。

 

 

 

■ 原因としては、

 

① 原因がよく分からない特発性

② 免疫介在性のブドウ膜炎

③ 感染性(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など)

④ 高脂血症

⑤ 腫瘍性

⑥ 目への強い衝撃や手術などにより、外傷性のブドウ膜炎も起こります。

 

 

 

■ 治療は、炎症を抑える薬(ステロイド・非ステロイド)や抗生剤、免疫抑制剤を点眼薬、内服薬として使用します。

 

 

 

 

◆◆ さて、このワンちゃん、当院で神経検査、STT検査、細隙灯検査(スリットランプ検査)、フルオレセイン検査、眼圧検査と一連の眼検査を実施したところ、右眼に流涙、羞明がみられ、さらに結膜に出血も認められましたが、フルオレセイン染色では角膜に傷はみられませんでした。

 

 

 

■ スリットランプ検査により、前眼房にフレア(炎症物質の浮遊)がみられましたが、眼圧測定では眼圧は正常でした。

 

 

 

 

■ これらのことと飼い主様のお話から、今回は『 外傷による結膜出血及び軽度の外傷性ブドウ膜炎 』の可能性が高いと判断して、非ステロイド系の消炎剤、抗生剤および粘膜保護の点眼薬を処方しました。

 

 

 

■ 2週間後、来院していただくと『 先生、白眼が赤いのも、涙目もなくなり、良くなりました 』と嬉しそうにお話下さいました。

 

 

 

■ 気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 泉 政明

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