【こんな症例も治りますシリーズ 634】 『 犬の眼の 虹彩萎縮症 』も 適切な診断と治療で管理します

↑ 上の写真は、犬の左眼の虹彩萎縮症です。

■ 白目の内側に黒目があります。

■ 黒目は、虹彩と瞳孔が手前に見えます。

■ この写真の虹彩は、幅が狭く不整に委縮しています。

 

参照サイト:

https://00m.in/1GtOZ

 

犬 トイプードル 10歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 左眼を眩しそうにする 】という事で来院されました。

 

 

 

◆◆ 眼をみてみると、左眼の瞳孔が開きっぱなしになっています。

 

 

 

■ 瞳孔とは、眼球の色がついている部分を『虹彩』といい、虹彩に囲まれた真ん中の黒い部分を『瞳孔』と言います。

 

 

 

■ 瞳孔は大きくなったり小さくなったり見えますが、実際には虹彩が伸び縮みしており、光の量を調整しています。

 

 

 

■ 虹彩が開きっぱなしだと、光が調整されず、犬は眩しく感じます。

 

 

 

■ 虹彩が開きっぱなしになってしまう病気としては、神経疾患、網膜疾患も考えなくてはいけませんが、この子は虹彩が不整形でした。

 

 

 

■ また対光反射検査という、光を当ててみて虹彩が伸び縮みするかという試験をおこなってみると、反応があります。 また、眼の奥の網膜を眼底鏡で検査しても、問題ありません。

 

 

 

 

◆◆ 以上から、このワンちゃんは、『 虹彩萎縮 』を起こしています。

 

 

 

■ 虹彩萎縮とは、老齢の犬によくみられる疾患で、まず虹彩の色が変化し、その後虹彩自体が薄くなり、萎縮します。 虹彩に穴が開くこともあります。

 

 

 

■ 老齢性の変化で、小型犬によく見られます。

 

 

 

 

 

■■ しかし、二次性(続発性)の変化であることもあり、基礎疾患に緑内障やぶどう膜炎があることもあります。

 

 

 

 

■ 細隙灯顕微鏡(スリットランプ)での眼内炎症の測定や、眼圧測定といった検査も実施しましたが、異常ありませんでした。

 

 

 

■ 原発性(原因が他にない)の疾患では、残念ながら特別な治療法はありません。

 

 

 

■ 今後も経過に注意してみていきたいと思います。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

 

 

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