【こんな症例も治りますシリーズ 627】 『 犬の再生医療治療薬でないと難しかったレベルの免疫介在性溶血性貧血 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の歯茎が貧血になって黄疸状態です。

■ 様子を見ようと思ってはいけない危険な状態です。

■ すぐに、動物病院に連絡して来て下さい。

 

参照サイト:

https://onl.la/4gHzipp

 

犬 ミニチュアシュナウザー 9歳 メス(未避妊手術)

 

 

【 他院で腸の腫瘍(がん)切除をしてもらった後から、どんどん貧血が悪化して治らなくなった。 他院では、治らないと言われた。 】という事で来院されたワンちゃんです。

 

 

 

◆◆ 診察してみると、目の粘膜や口の中が真っ黄色で、他院で行った血液検査でも貧血や黄疸のレベルが時間と共に悪化してきており、ワンちゃんも元気がなく呼吸も粗くなっています。

 

 

 

■ 第一印象は、『 他院での腫瘍摘出手術の失敗が原因? 』と思いましたが、このような時は、冷静になって『 診断手順を考えて原因の特定に集中すると共に、緊急事態に備えて準備を同時並行で進めます 』。

 

 

■ 酸素マスクや酸素室(動物用ICU)を用いながら、迅速に検査を行いました。 貧血のレベルは、通常の犬の1/5しか赤血球の容積がありませんでした。 極度の酸欠状態ですが、酸素を動物用マスクで補給していますので、来院時よりも少し良い状態になってきました。

 

 

 

 

■■ さて、血液の塗抹染色検査の結果から、『 球状赤血球 』という、自分の免疫力が異常になって働いてしまい、自分の赤血球が壊されている時に出現してくる『 真丸の赤血球 』が多数認められました。 

 

 

■ 体内に残っている可能性がある腫瘍から出血している事も疑って、画像診断検査を丁寧に行いましたが、他の検査を含めて、『 貧血の主原因になる病変は、球状赤血球以外には発見できません 』でした。

 

 

 

■ そこで、『 免疫介在性溶血性貧血 』と確定診断して治療を開始しました。

 

 

 

 

 

★ この病気は、自分の赤い血の赤血球という血球に『 膜 』があるのですが、この膜を自分の敵だと思って免疫的に壊してしまう病気です。 要するに、赤血球が壊れる ⇒ 赤血球の数が減る ⇒ 貧血になる。

 

 

★ 自分の体を『 敵だと思ってしまって、自分を傷つける免疫の病気 』を、『 自己免疫疾患 』と言います。 今回の病気は、自分の赤血球を傷つける自己免疫疾患です。 別名は、『 免疫の暴走 』と言って良いですね。

 

 

◆◆◆ さて、他院でも輸血を行っている経緯もあり、複数の要因で輸血の実施には悩みましたが、輸血の準備だけをして『 治療反応を見ていくことを優先して、迅速に各種の免疫抑制剤治療を行うか、再生医療を選択するべきかを決断し 』治療を開始致しました。

 

 

 

※ ここで、輸血療法や免疫抑制剤治療を悩んだ主な理由を2つ紹介します。

 

1) 一つ目は、輸血を先にしてしまうと、『 免疫介在性溶血性貧血 』に対する治療効果が判定しにくいのです。

 

 

2) 二つ目は、他院による外科手術を1週間以内に行っていたので、副腎皮質ステロイドを使う事で傷口の癒合(治ること)が遅れてしまう可能性が高くなるので、この薬の使用を躊躇しました。

 

 

 

 

◆◆ そこで、当院には、実績が多くある『 再生医療の幹細胞培養上清治療(○○因子) 』がありますので、この薬を使用したところ、『 投与後2日目から貧血のレベルが改善されて 』体調も良くなってきました。

 

 

 

★ ワンちゃんと飼主様の頑張りとご協力があり、2週間後には普段通りの生活に戻りました。

 

 

★ 他院で行った摘出手術の腸管腫瘍は、病理組織検査で『 回腸(小腸)の平滑筋肉腫(がん) 』という結果でしたが、完全に悪い部分は摘出されていたとの事でしたから、今後は定期的に画像診断と血液検査を行って、腫瘍の再発を早期発見していきたいと思います。

 

 

 

※ この腹腔内に出来る平滑筋肉腫や線維肉腫は、再発しやすい傾向があります。

 

 

 

★ がんの再発を遅らせるためには、抗がん剤治療と言う方法もありますが、当院では『 自然医学療法で悪性細胞を破裂させる方法 』が出来ますので安心ください。

 

 

■ ワンちゃん猫ちゃんの貧血が治らない、などでお困りの方は、一度ご相談下さい。

 

 

 

獣医師 高橋 俊一

 

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