【こんな症例も治りますシリーズ 591】 犬の『 犬の特発性てんかん 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、犬のてんかんをイメージしています。

■ てんかんを起こしている際は、脳波が乱れます。

■ 2010年代の研究ですが、中鎖トリグリセリド(MCT) を含む栄養補助食品を摂取すると、3 分の 2 以上の犬で発作頻度が大幅に減少したことが示されました。

■ 調査した犬のほぼ半数で、発作頻度が少なくとも 50% 減少しました。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3naNzGr

 

犬 柴犬 5歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 全身の震えを繰り返す 】で来院されました。

 

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると、『 3日前から、5分間ぐらい繰り返す震えが2時間くらい続くので、近くの動物病院に行ったのですが、その時、震えは無かったため経過観察と言われました。 でもまた始まるのではと心配になり、原因を調べてほしい 』と当院のホームページを見て来院されたとのことでした。

 

 

 

■■ てんかんは、脳の神経ニューロンの電気信号が過剰になり、乱れが生じて出る一時的な発作のことをいいます。

 

 

 

■ 医学的には『 てんかんは、24時間以上あけて、2回以上の非誘発性てんかん発作を生じる病態 』と定義づけられています。

 

 

 

■ 『 てんかん発作 』には、さまざまなパターンがありますが、代表的なのは痙攣や震えなどです。

 

 

■ てんかんは原因により

 

① 特発性てんかん:発作の原因が検査を行っても明らかな病変が認められず、原因不明のもの

 

 

② 症候性てんかん:脳に腫瘍や炎症などが存在し、それらがてんかんの原因となっているもの

 

 

③ 脳以外の疾患によるもので、たとえば・低血糖・低カルシウム血症・高アンモニア血症・高ナトリウム血症・心臓疾患・中毒などが考えられます。

 

 

■ 診断には、神経学的検査・血液検査・X線検査・超音波検査などの他、必要に応じてMRI検査などを行い、脳に病気が無いかを調べることも重要です。

 

 

■ 治療としては、基本的には抗てんかん薬の内服を行います。

 

 

 

■ また、定期的に血液検査を行い、血液中の薬物濃度を確認する必要があります。

 

 

 

 

 

◆◆ さて、このワンちゃんの場合、神経学的検査では特に異常は見られませんでした。

 

 

■ 一方、血液検査では総胆汁酸(食後)の値が高値を示し、X線検査では小肝症が認められたことから、門脈体循環シャントに起因する高アンモニア血症が発作の原因となっている可能性が考えられましたが、ただ、腹部の超音波検査では明らかなシャント血管は認められず、また、血液検査でも血中アンモニア濃度は正常の範囲内でした。

 

 

■ シャント血管の確定検査として、CT検査も検討しましたが、血中アンモニア濃度が正常であったため、話合いにより中止しました。

 

 

 

■ そこで特発性てんかんと症候性てんかんを見極めるため、さらにMRIを持つ画像診断専門病院に紹介し、MRI検査と脳脊髄液検査による精密検査を行いました。

 

 

 

■ その結果、心配された腫瘍や炎症はなく、脳、脳脊髄ともに異常は認められませんでした。以上のことから、このワンちゃんは『 特発性てんかん 』と診断しました。

 

 

 

■■ 抗けいれん薬を処方して3週間後、血中薬物濃度を検査したところ、薬物濃度は有効血中濃度の範囲内にあり、飼い主様から『 あれ以来、全くけいれんはありません 』と報告がありました。

 

 

 

■ お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

 

 

獣医師 泉 政明

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