【こんな症例も治りますシリーズ 589】 パグ犬の『 まぎらわしい足のシコリ 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、犬の指に出来たシコリです。(左に指が見えます)

■ 決して、『イボ・オデキだから様子を見ていよう』と考えないで下さい。

■ しっかりと検査したところ、この子は『黒色腫(メラノーマ)』と診断がつきました。
大変な病気です。 これからの治療が大変です。

 

 

参照サイト:

https://bit.ly/3NioTGt

 

 

犬 パグ 6歳 オス(未去勢手術)

 

 

【 右後ろ足の指が腫れている 】で来院されました。

 

 

 

◆◆ 急激には大きくならないものの、1本の指から隣の指も腫れ始めたそうです。

 

 

■ 実際に診させていただくと、右後肢第2、3趾が15mm程腫れて腫瘤が形成されていました。

 

 

 

■ 中高齢のワンちゃんには、皮膚にオデキが出来てしまうことがよくあります。

 

 

 

■ そのほとんどが良性の腫瘤ですが、中には悪性のものがあり、手遅れになると他の臓器に転移して、手の施しようがない場合もあります。

 

 

 

■ 今回の犬種の【パグ】は【肥満細胞腫】という腫瘍の好発犬種であることから、詳細な検査を進めることにしました。

 

 

 

★ 【肥満細胞腫】は肥満細胞という細胞が腫瘍となったものです。 肥満細胞はヒスタミンやヘパリンなど、血管に作用する物質を放出し、それらにより血管が拡張して血圧が下がったり、出血や浮腫などが起きたり、腸に潰瘍(かいよう)が出来たりすることがあります。

 

 

 

 

 

★ 犬に発生する皮膚の腫瘍の中で一番発生率が高い病気で、悪性度の低いものから高いものまでさまざまです。

 

 

 

★ 悪性度の低いものは、出来た腫瘍を外科的に切除することで完治することも多いです。

 

 

 

★ しかし、悪性度の高いものは様々な臓器に転移して完治が難しくなります。

 

 

 

 

★ 肥満細胞腫は、その見た目もさまざまで、小さいものもあれば大きいものもあり、柔らかいものもあれば硬いものもあります。

 

 

★ また、急激に大きくなるものや、ほとんど大きさが変わらないものもあります。

◆◆ 今回のワンちゃんの診断には腫瘤の中に針を刺して細胞をとりだし、病理検査専門医の診断をお願いすることにしました。 採材した細胞に、分かりにくい細胞があったからです。

 

 

 

■ 今回のワンちゃんは検査の結果、『 化膿性好酸球性炎症という炎症で、悪性の腫瘍ではなく、アレルギーや寄生虫性など 』が疑われました。

 

 

 

★ 追加特殊検査を行いながら、内服薬と外用薬で適切に治療したところ、直ぐに治りました。 アレルギー性の病気でしたので、再発しやすい病気であり、これからの継続治療が大切です。

 

 

 

 

■ 肥満細胞腫は、パグ以外にもボクサー、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ブルドッグ等が好発犬種になります。皮膚のオデキに気付いたら、ご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 天野雄策

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