【こんな症例も治りますシリーズ 562】 猫の『 重症膀胱炎を伴う尿道結石 』も 適切な診断と治療で治します

 

↑ 上の写真は、手術で摘出した尿道結石です。

■ シュウ酸カルシウムの結石でした。
■ シュウ酸カルシウム結石は、若い時期には、出来にくい結石です。

 

猫 ミックス猫 5歳 オス(去勢手術済)

 

【 トイレで踏ん張るが尿が出ない 】とのことで来院された猫ちゃんです。

 

◆◆ 腹部を触ってみると、膀胱がパンパンになっています。

 

 

■ 尿道閉塞症です。 雄の猫ちゃんでは特に冬場に多く、膀胱内に出来た結晶や結石、あるいは血餅や膀胱上皮の塞栓物が尿道につまり、排尿障害を起こしてしまいます。

 

 

■ これは緊急状態であり、早急にカテーテルを尿道から膀胱に通し、排尿させることが必要です。

 

 

★ 時間が経てば経つほど腎機能が悪化してしまいます。

 

 

■ まずレントゲンを撮影してみると、尿道にびっしりと結石が写りました。

 

 

 

★ 尿道結石による尿道閉塞症でした。

 

 

 

■ 血液検査では、腎障害はまだ軽度です。

 

 

 

■ 細いカテーテルを尿道から膀胱内に通し、結石を膀胱に押し戻しました。

 

■ 尿は150mlも溜まっていました。

 

 

■■ 膀胱結石は外科的に除去しなければ、すぐに再度尿道に閉塞してしまいます。

 

■ 続いて全身麻酔下で、開腹、膀胱結石除去手術を行いました。

 

 

■ 除去した結石は、6個。 直径2mmもない大きさです。
※ 猫の尿道は細いため、この大きさでも塞栓してしまいます。

 

 

 

★★ この猫ちゃんは、長期間にわたってこの膀胱結石が膀胱粘膜をイジメていたのだと思います。

 

 

★ 膀胱の内張りである粘膜が著しく腫れており、『膀胱の内側に向かって、まるでダウンジャケットのようなモコモコ状態』であり、粘膜のヒダの間に結石の摘出用特殊器具を入れ込むことが難しかったので、膀胱結石摘出にとても工夫を要しました。

 

 

■ 手術後は、無事に自力排尿できるようになりました!

 

 

■ これで終わりではなく、結石を作ってしまう体質なため、障害を通して食事管理やサプリメントで結石を出来にくくしていく必要があります。

 

 

 

■ これからもしっかり、経過観察をしたいと思います。

 

 

 

獣医師 増田正樹

 

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