【こんな症例も治りますシリーズ 559】 犬の『 眼瞼腫瘍 』も 適切な診断と治療で治します  意外と知らない『 犬・猫の眼瞼腫瘍の落とし穴 』

↑ 上の写真は、犬の眼瞼腫瘍です。

■ 右目の下眼瞼にシコリがあります。

■ この腫瘍は、『マイボーム腺腫』の良性でした。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3BZFj07

 

 

犬 ジャックラッセルテリア 12歳齢 オス(去勢手術済)

 

 

【 徐々に下瞼(シタマブタ)のデキモノが大きくなってきた 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

◆◆ 最初は腫瘍が小さいため、飼主様とのご相談によって外用薬で小さくなるか試していきました。

 

 

■ しかし、効果はあまりなく、徐々に大きくなり眼球に当たるようになってきたため、手術で摘出することになりました。

 

 

■ 高齢になってきていることもあり、麻酔前の検査をしっかり行い手術に臨みました。

 

 

■ 通常の皮膚腫瘍などと異なり、瞼(マブタ)を切開するため、涙管や眼の形、眼の大きさに注意を払って行うことが必要です。

 

 

★ もちろん、通常の外科器具セットではなく、『 眼科用外科器具セット 』を用いて手術を行うことが、成功への第一歩です。

 

 

 

★ そのため、経験や丁寧さの違いなどによって、手術後の見た目にも差が出てきます。

 

 

 

■ この子のマブタのシコリは、マブタの裏側を診ると、根が深く広がりもあったので、見た目は良性に見えましたが『 悪性腫瘍の初期の可能性も視野に入れて、切開部位を広めて切除しました 』。

 

 

 

★ 横幅を広めに切開しましたので、上下のマブタの長さが合わなくなります。
そのような際は、目尻切開を行い美容外科のように『 上下の長さを合わせる手術方法 』を用いました。

 

 

 

 

 

 

◆◆ あまり知られていない情報ですが、ワンちゃんの眼瞼腫瘍は、『 良性:悪性の確率 = 3:1 』と言われています。

 

 

★ ワンちゃんの眼瞼腫瘍のほとんどが、良性であると信じている人が多いので、ここが落とし穴です。

 

 

 

★ ちなみに、今回のワンちゃんは、病理組織検査で『 マイボーム腺上皮腫(マイボーム腺あるいは皮脂腺に由来する“ 低悪性度 ”に分類される腫瘍) 』という、予想した通りの結果でした。 幅広く摘出しておいて正解でした。

 

 

 

◆◆ さらに、猫ちゃんの眼瞼腫瘍は、『 最大91%が悪性腫瘍 』という研究報告があります。 これが『 落とし穴 』です。

 

 

★ たしかに、猫ちゃんにマブタのシコリがあった際は、かなりグチャグチャな形態になります。 ワンちゃんに比べて発生数が少ないですが、『 発見しても、すこし様子を見よう 』と思わないで下さい。

 

 

 

 

★★★ 直ぐに、ネコちゃんの目の外科が分かる先生に診察してもらうことを『 お勧めします 』。

 

 

 

★ 猫ちゃんの眼瞼腫瘍の手術は、美容外科テクニックを使っても綺麗に仕上がらない事が多く、獣医師泣かせです。

 

 

■ ワンちゃんネコちゃんの眼瞼のデキモノに悩んでいる方は、ご相談ください。

 

 

 

獣医師 冨田浩平

Page Top