【お困りではありませんか? アドバイスしますシリーズ 18】 『 犬の歯周病と認知症についての新研究報告 』 を紹介します

★ 犬の歯周病菌が、認知症の原因
■ 人間の認知症の原因は、歯周病菌が関与していると分かっています。
■ 犬の研究でも、同様の事が分かってきました。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3xWkOiA

https://bit.ly/3UNTZqH

https://bit.ly/3Sisgg9

 

 

■■■ 『 犬の認知症で 質問が多い シリーズ 』

 

 

■ 「先生、うちの子、昼間は寝ていて、夜中や明け方になると夜鳴きするのよ。」

 

「先生、ケージのなかで、ぐるぐると円を描くように歩き回ってばかり。どうすれば良いですか?」

「この子、いつも散歩しに行く場所を忘れちゃったみたいなの。年のせいかしら?」

 

 

 

 

◆◆ 飼い主様から、最近、よくいただくお話です。

 

 

 

 

■ ワンちゃんでも老化現象により、日常の生活を忘れてしまい、これまで出来ていたことが出来なくなったり、やっていなかった事をやりだしたりするようになります。

 

 

■■ この症状は、犬の認知機能不全とも呼ばれる、いわゆる『 犬の認知症 』です。

 

 

 

■ 人間では、加齢と共に認知能力が低下していくアルツハイマー型認知症が知られています。

 

 

★ 認知機能不全のワンちゃんの脳は、人間の各種認知症の患者と同じ病理学的変化が認められることが、最近、再認識されてきました。

 

 

 

◆◆ ワンちゃんでは、認知機能が低下すると昼夜逆転による夜鳴きや飼い主様のことが分からなくなるなど、飼い主様にとっても辛いことがあります。

 

 

 

★ 何よりもワンちゃん自身が不安や恐怖を感じて混乱したりと、生活の質が大きく低下してしまいます。

 

 

■ そして、認知症は、一度発症すると完治させる、あるいは進行を止める良い特効薬が現在はありません。 したがって、認知症の予防は大きなテーマの1つと言えます。

 

 

 

■ かつては、認知症は老化によるもので、治療や予防はできないと思われていましたが、最近の研究では、いくつかの予防策に、その有効性が期待できると考えられています。

 

 

■ 例えば、

① DHAやEPAなどの青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の摂取(夜鳴きや夜中の徘徊などの改善に効果)

 

② 抗酸化作用のある成分(β―カロチン、ビタミンC、ビタミンEなどを含んだ野菜や果物)の摂取

 

③ 刺激のある生活(スキンシップ、「おすわり」や「待て」などの訓練)

 

④ 筋力の維持(適度なお散歩)等です。

 

 

 

■ その中で、アメリカの研究チームによって、犬の歯周病がヒトと同じように認知機能不全に関連している、というリサーチ結果が、昨年、発表されました。

 

 

 

◆◆ ヒトでは、歯周病の病原菌がアルツハイマー型認知症の発症に関連していることが以前より知られております。

 

 

 

 

★ そのメカニズムとしては、歯周病の病原菌の細胞毒素や細菌そのものによる脳の損傷、脳内の神経機能を妨害する物質アミロイドβの蓄積が報告されていて、これを基に、抗アルツハイマー型認知症薬の開発が進められています。

 

 

 

 

◆◆ 一方、犬にとって歯周病も認知機能不全も一般的な疾患です。

 

 

■ しかし、この2つの関連については今まで確認されていませんでした。

 

 

■ アメリカの研究チームは、認知機能不全の診断を受けたワンちゃんと、同じ年齢で認知機能が低下していないワンちゃんを対象にそれぞれ歯周病スコアを調査し比較したところ、認知機能不全のワンちゃんの歯周病のレベルは、認知機能不全ではないワンちゃんの犬に比べてかなり悪い結果で、これはヒトの歯周病とアルツハイマーの研究結果と一致していました。

 

 

 

■ ただ、この調査では歯周病と認知機能障害の相関関係は示されましたが、ヒトとは異なり、歯周病が認知症の原因そのものなのか、様々な要因の1つなのかなど具体的な因果関係までは分かりません。

 

 

■ つまり、厳密には、ワンちゃんでは歯周病があるとアルツハイマー型認知症のリスクが高くなるということしか、今は言えません。

 

 

 

◆◆◆ ただし、『 犬の歯周病のレベル上昇 ⇒ 認知症が悪化する 』と言う事が分かったので、デンタルケアの重要性を再認識したいですね。

 

 

 

■ 今後、細かいメカニズムなどの専門的な事は、さらに研究が進められることが期待されます。

 

 

 

 

 

◆◆ ワンちゃんでも口腔内の健康状態が悪くなると、腎臓や心臓など全身状態にも悪い影響があることはよく知られています。

 

 

 

■ 重ねて申し上げますが、今回の研究から、口腔内の健康状態は脳の健康にも関連があることが示され、『 認知症の予防には歯石除去を含めた歯周病治療 』、『 歯を磨くことの重要性 』が改めてわかりました。

 

 

 

■■■ ワンちゃんの健康管理に、『 新常識として、認知症予防に専門医レベルの定期的な歯石除去 』を加える事をお勧めします。

 

 

 

 

 

■ 何かありましたら、お気軽にご相談ください。

 

 

獣医師 泉 政明

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