【こんな症例も治りますシリーズ 530】 ワンちゃんの『 胆嚢粘液嚢腫(ムコセーレ) 』も 適切な診断と治療で治します

上の写真は、緑の部分が犬の胆嚢です。
■ 各臓器への癒着が激しくなると、局所的に腹膜炎が起こります。
■ 胆嚢粘液嚢腫の摘出手術は、柴犬サイズの大きさは楽ですが、体重が2Kg以下の子はとても難しいです。

 

 

参照サイト:

https://bit.ly/2pIlyHZ

 

犬 柴犬 11歳 オス(去勢済み)です。

 

 

【 今朝から元気食欲無く、今朝1回吐いた 】ということで来院されたワンちゃんです。

 

 

 

◆◆ 血液検査、レントゲン検査およびエコー検査をさせていただきました。

 

 

■ 血液化学検査の結果、肝細胞障害の数値が上昇しており、黄疸数値もやや上昇しておりました。

 

 

■ 腹部エコー検査で『 胆嚢粘液嚢腫 』であることが確定しました。

 

 

 

 

■■ 胆嚢は肝臓と十二指腸の間にある袋状の臓器で、肝臓で作られた胆汁を貯めて、胃に食べ物が入ると、脂肪の分解を助ける胆汁を十二指腸へ送り出します。

 

 

 

 

 

■■ 胆嚢粘液嚢腫は、中年齢から高齢の犬に発生することが多い病気です。

 

 

■ 通常、胆汁はサラサラしているのですが、原因ははっきりとしていませんが、『 その胆汁が固いゼリー状になってしまい、十二指腸につながる総胆管が詰まって逆流し、肝臓が障害を受けたり、胆嚢が破裂して腹膜炎を起こしてしまう 』危険な病気です。

 

 

■ 治療はお薬で胆汁を薄める薬と、胆管を拡張させて胆汁の流れを良くする薬剤の内科的治療と、胆嚢を外科的に切除する方法があります。

 

 

■ このワンちゃんの場合、肝臓の障害の指標である黄疸が症状として見られていなかったため、飼主様と相談して内科的治療を開始しました。 しかしながら、2日後、食欲は回復せず、黄疸のマーカーであるビリルビン値がさらに上昇してしまいました。

 

 

■ 今後内科的治療で一時的に回復したとしても、再発を繰り返すことが容易に想像出来ましたので、飼主様と相談して、外科的に『 各臓器に癒着した胆嚢の切除術 』および『 十二指腸からの胆汁排出経路拡張術 』をすることにしました。

 

 

 

■ 胆嚢摘出術は決して簡単な手術ではありません。 この子の場合は、ごく僅かではありましたが、胆嚢破裂をしていましたので、各臓器への癒着をしっかりと取りさり、十二指腸切開を行った細かい手術を行う難易度が相当高い手術を行いました。

 

 

 

 

 

■ 今回は手術が無事に終わり、3日後には食欲も出てきて、4日目に退院となりました。
そして術後2週間目には食欲は完全回復し、抜糸することになりました。

 

 

 

■ 今回の症例に限らず、『 元気食欲が無い 』は動物さん達の病気の最初のサインです。
様子をみるのではなく、大至急! 動物病院に連れていってあげてください。

 

 

 

獣医師 天野雄策

Page Top