【こんな症例も治りますシリーズ 519】 ネコちゃんの猫ヘルペスウイルス性角膜炎 も 適切な診断と治療で治します

上の写真は、猫ヘルペスウイルス症の目の様子です。
■ 透明であるはずの角膜に、左手から中央に向かって細い血管が数本伸びて来ています。
■ 子猫の時代に感染すると、瞼の裏側同士が癒着してしまい、目が開かない時があります。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3PHMVcf

 

 

猫 ミックス猫 6歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 右眼が白っぽい 】ということで来院されました。

 

 

 

◆◆ 眼を診てみると、角膜が白濁浮腫し、血管の新生がありました。

 

 

■ また不快感もあるようで、眼がシパシパする羞明と呼ばれる行動をしています。

 

 

■ 角膜炎を起こしています。

 

 

■ 猫の角膜炎の原因は、外傷や眼瞼内反などの物理的な刺激によっても起こり得ますが、犬ほど頻繁ではありません。

 

 

■ その多くが猫ヘルペスウイルス(FHV-1)によって起こります。

 

 

■ この猫ヘルペスウイルスは、神経節に潜伏するため、過去に目脂や呼吸器疾患(鼻汁やくしゃみ、咳)があったかどうか、病歴を遡ることが大切です。

 

 

■ また全身性疾患に伴い、眼の症状が表在化することがあるため、眼の検査だけでなく、全身検査もおこなった方が良いでしょう。

 

 

■ 当院での血液検査では、特に異常は見られませんでした。

 

■ 診断方法ですが、結膜や咽頭部から綿棒でスワブをとり、PCR検査を行います。
それによりヘルペスウイルス感染が陽性であった場合、治療開始となります。

 

 

■ ヘルペスウイルス感染には、アシクロビルという抗ヘルペスウイルス薬が適応ですが、かなり高価で、約3ヶ月の長期投与が必要です。

 

 

■ 最近では、古典的な薬ですが、IDU点眼液という抗ヘルペスウイルスの点眼液も手に入りやすくなりました。

 

 

■ この子はやはり、PCR検査でヘルペスウイルス陽性だったため、点眼液で治療を始めました。

 

 

■ 治療開始して2ヶ月ですが、かなり角膜の透明性も回復し、血管新生も薄くなってきています。

 

 

■ 引き続き、しっかり経過を見ていきたいと思います。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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