【こんな症例も治りますシリーズ 508】 猫ちゃんのマンソン裂頭条虫も 適切な診断と治療で治します
■ マンソン裂頭条虫の成虫です。
■ サナダムシの仲間です。
■ 人間にも感染します。
参照サイト:
https://bit.ly/3NPLqIi
猫 日本猫 3歳 オス(去勢手術済み)
【 お尻から白く長いものが飛び出ている 】とのことで来院されました。
◆◆ 実は、検査の前に、既に分かってしまう病気でした。
■ しかし、『 当院の方針として 』ここは丁寧に他にも病気が無いかを確認して、本題である『 飛び出している物体 』の検査に取り掛かります。
■■ 検査の結果、お尻から飛び出ていたものは寄生虫ということが確実に分かりました。
■ マンソン裂頭条虫(れっとう・じょうちゅう)と呼ばれる寄生虫です。
■ 飼主様にお話を伺うと、時々外に出てしまい、しばらくすると帰ってくるとのことでした。
■ 家の近所には田んぼがあるとのことです。
■ 賑やかにカエルが鳴いている事もあるような、そのような地域だそうです。
■■ このマンソン裂頭条虫は、カエルやヘビに通常寄生しています。 その動物たちを猫ちゃんが食べたりすると、この寄生虫が猫たちに寄生します。 ケンミジンコから感染するとも言われていますが、通常はカエルからの感染が多いです。
★★ マンソン裂頭条虫は、条虫ですので『 サナダムシ 』の仲間の分類に入ります。
★ ただし、それぞれ検出できる検査が異なります。 マンソン裂頭条虫は直接法と浮遊法という便検査で検出できますが、サナダムシはその検査では普通は検出できません。
★ マンソン裂頭条虫は、食べ物に例えるのは良くないですが、『 きし麵 』に横筋を入れた形に似ています。
便の色と臭いは、独特です。
★ 寄生虫の形と動きで判断する事は、サナダムシでも可能です。 検査用のスライドグラス2枚の間に虫と思われるモノを挟んで、少し虫体を圧迫して顕微鏡で覗くと良く内部が見えますので、診断が付けられます。
◆◆ マンソン裂頭条虫の治療は、その場で猫ちゃんのお尻から虫体をゆっくりと一定の力で引き抜くと、運が良ければ全部抜く事が可能です。
■ 途中で虫体が切れてしまっても、問題はありません。 特効薬の駆虫薬がありますので、ご安心ください。
◆◆ 最後に、この寄生虫は人に感染する『 人獣共通感染症 』です。
※ 東京都福祉保健局 健康安全研究センター によると:
『 マンソン裂頭条虫の寄生の予防方法 』
参照サイト: https://bit.ly/3NPLqIi
1)ヘビ、カエル、ニワトリの血液、胆嚢、筋肉などを生で食べないようにします。
2)幼虫が寄生しているケンミジンコがいる恐れのある水は飲まないようにします。
3)ヘビやカエルの血液を傷口に貼る民間療法は行わないようにします。
■ ちょっと気になる方は、動物病院に質問されて下さい。
獣医師 落合勇吏
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