【こんな症例も治りますシリーズ 461】 高齢猫の 顔の皮膚基底細胞癌 も適切な診断と治療で治します

★ 猫ちゃんの皮膚に出来た『基底細胞癌』です。
★ 今回の腫瘤は、アゴの下に出来たので、取りやすかったです。
★ 鼻の横などに出来る腫瘤は、取りにくいと思います。

 

参照サイト:

https://msdmnls.co/3mkCYFw

 

 

猫 21歳 メス (避妊手術済み) です。

 

 

【 アゴ下に何か出来た 】とのことで来院されたネコちゃんです。

 

 

 

◆◆ 猫ちゃんのアゴの下を診てみると、直径2センチほどの大きさの隆起した腫瘤が出来ています。

 

■ 悪性病変か良性病変かで、切り取る範囲が異なるため、まずは針で病変部を吸引し、仮診断を行います。 これを細胞診検査と呼びます。

 

■ 細胞診の結果は、良性の過形成でした。

しかし、細胞診検査結果が出るまでに病変部は明らかに大きくなっています。 細胞診は採取できる病変が少ないため、的中率(正診率)は60~70%と低くなってしまいます。

◆◆ 飼い主様と相談の上、外科手術で切除することになりました。

 

 

■ しかし、21歳という高齢である事と、事前準備の血液検査を行ってみると、腎数値のBUN(尿素窒素)が120mg/dL、CRE(クレアチニン) 5.0 mg/dLの結果でした。

 

 

■ この腎数値は、正常値の5~6倍の高値でして、著しい腎障害を起こしてしまっています。 おそらく加齢性の変化による慢性腎障害(慢性腎臓病)と思われます。

 

 

■ この結果から、全身麻酔はかなり危険性が高い、と判断できます。

 

 

 

◆◆ そこで、手術計画として、『 十分に点滴 』を行い、『 鎮静麻酔と局所麻酔 』を行い、『 短時間で切除を行うために、止血と切除が同時に行える最新手術機器のサンダービートを使用する 』ことに致しました。

 

 

■ 軽く鎮静をかけた後で、サンダービートを使用します。 ものの数秒で、出血もなく、切除が終了しました。

 

■ 手術部位がアゴ下であるため、本人もかなり気にしていましたが、さっぱりした様子です。

 

 

 

■ 切除した病変を病理組織検査に提出してみると、『 基底細胞癌という悪性腫瘍 』でした。 しかし、完全に腫瘍は切除出来ているという結果でした。

 

■ 切除から1ヶ月、消毒で通院しましたが、いまでは傷口は綺麗になりました。 もう手術部位をイタズラ出来ないようにする首に巻くカラーも必要ありません。

 

 

■ 本猫ちゃんも、ご家族も満足そうになさっています。

 

 

 

 

■ 最新機械サンダービートで手術を行ったため、腎臓病を持つ高齢猫ちゃんのリスク回避ができた症例でした。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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