【こんな症例も治りますシリーズ 460】 ワンちゃんの複数発生している乳腺腫瘍も CT検査を用いて 適切な診断と治療で治します

★ ワンちゃんの左側の乳腺腫瘍(大きい白い塊)と、リンパ節転移部((緑の矢印))です。
★ CT造影検査だから、リンパ行性転移が綺麗に分かります。
★ 手術の時には、この緑色の部分も含めて全て切除します。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3mo0jWV

 

犬 11歳 メス (避妊手術済み) です。

 

 

【 オッパイにシコリがある 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

◆◆ 触診してみると、左の第一乳腺、第三乳腺、第五乳腺、右の第四乳腺にしこりがあります。

 

 

■ 『 乳腺にしこり 』がある場合、50%の確率で悪性であり、そのうち50%の割合で肺に悪性腫瘍が転移してしまうと言われています。

 

■ ですので、外科手術による腫瘍切除の方向で積極的に考えていく必要性があります。

 

 

 

◆◆ こういった場合、CT検査がとても有用になります。

 

 

■ レントゲン検査では捉えられない小さな肺のしこり(結節)も、CT検査であれば発見することができるからです。

 

★ 一般的に、レントゲン検査では直径5mm以上のシコリを発見できますが、CT検査では直径1mmでも発見出来ます。

 

 

 

■ 肺転移していた場合、予後(病気の今後)は難しくなってしまいます。 あまり良くない将来を過ごす事になります。

 

 

◆ 全身麻酔下で、CT検査で肺を撮影してみると、運がいいことに結節陰影は見当たりませんでした。

 

 

 

 

◆◆ これで終わりではありません。

 

 

■ 腹部も、血管に造影剤を注入し、CT検査の撮影を行います。 こうする事で、リンパ節が腫れているかどうかも判断する事が出来ます。 特に、腫瘍のCT造影検査を行う事で、どこまで腫瘍が広がっているかを確認する事が出来、手術の成功率を高めています。

 

 

■ こちらも幸運な事に、腹腔内のリンパ節の腫脹や、腫瘍の著しい拡がりは有りませんでした。

 

 

 

 

◆◆ 以上のCT検査結果を踏まえ、手術計画を立てます。

 

 

■ 左の乳腺は多数、結節が有りますので、左側の乳腺は全部摘出することにしました。
右側のリンパ節は腫れてもいなく、また1箇所の結節でありましたので部分摘出を行うことにしました。

 

★ こういった様に、術前のCT検査は手術計画にとってとても有用です。

 

 

 

 

◆◆ 実際に手術を行い、病理検査を行います。
悪性であった場合、抗がん剤治療を行う事もあります。

 

 

■ 結果は、幸運なことに良性の過形成でした。
避妊手術の時期が遅かったため、乳腺細胞の分裂のみが起こったのだと思われます。

 

 

■ 今では大きかった手術痕もきれいになり、とても元気にすごしてくれています。

 

★ 術前のCT検査が手術計画に有用であった症例でした。

 

 

 

※ 時々、他院様での乳腺摘出手術の後に、飼主様が『 1年以内なのに、何かオッパイに小さなシコリがある 』と来院されますが、この段階ではシコリが悪性か良性かは分かりません。

 

 

※ その際に今以上の悪化を防ぐ事を考えて、ワンちゃんの苦しみを取ってあげるためにも、『 CT検査を行った後に、治療計画と手術計画を立てる 』方針を基本に、治療に専念してまいります。

 

 

★ お心当たりのある方は、当院にご来院下さい。

 

 

獣医師 増田正樹

 

 

 

 

 

 

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