【こんな症例も治りますシリーズ 450】 猫には珍しい腹部膨満 も適切な診断と治療で治します

猫ちゃんがビール腹になった!
★ これは、複数の原因による病気かもしれません。
★ しっかりと、動物病院で調べて下さい。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3m1x7mY

 

 

ネコ 8歳 メス(未避妊手術) です。

 

【 2週間前からお腹が張って、陰部より膿みのようなものが出ている 】とのことで来院されたネコちゃんのお話です。

 

 

◆◆ そこで、まず触診と身体検査したところ、腹部がパンパンに張っていて、陰部より排膿していました。

 

 

■ 次にレントゲン検査と血液検査をさせて頂きました。 レントゲン検査では子宮が膨満していて、腸管を圧迫していました。

 

 

■ そして血液検査では白血球数が上昇していました。 白血球数が増えるということは体のどこかに炎症があるというサインです。 つまり、子宮で炎症が起きていることが疑われました。

 

 

■ 超音波検査を実施したところ、子宮内部に液体が確認されました。

 

 

 

 

◆◆ 検査の結果から子宮蓄膿症と診断されました。

 

■ 子宮蓄膿症は、未避妊のワンちゃんでよく見られる病気で、発情後、ホルモンバランスが崩れて免疫力が低下したときに子宮の中に大腸菌やブドウ球菌などの細菌が入って、増殖しておこります。

 

 

■■ ネコちゃんは、ワンちゃんと発情の形態が違うので子宮蓄膿症は少ないと言われますが、8歳を過ぎたころから見られます。

 

 

■ 子宮が破れて、お腹の中に細菌が漏れ出た場合、腹膜炎をおこし、短時間で死亡することもあります。

 

 

◆◆ 今回の場合、飼い主様に緊急性についてご理解を頂いて、その日のうちに麻酔をかけて子宮と卵巣を摘出し、点滴で抗生剤を投薬しました。 摘出された子宮の中には、大量の膿が入っていました。

 

■ 術後、翌日は白血球数も高く、食欲もありませんでしたが、次第に回復し5日目には白血球数も下がり、食欲も出てきたので無事退院となりました。

 

◆◆ 子宮蓄膿症は避妊手術を行うことで予防することができます。 また「初回発情前に避妊する」ことで高い確率で乳腺腫瘍も予防する事ができます。 子供を産ませる理由がない場合は、生後5ヶ月以降などで避妊手術をすることをお勧めいたします。

 

 

獣医師 天野雄策

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