【こんな症例も治りますシリーズ 438】 犬の医原性クッシングによる難治性の指間炎 も適切な診断と治療で治します

ワンちゃんの指間炎は、アレルギー性で起こる事が多いですが、草が皮膚内に入ってしまう事もあります。
よく注意深く検査をする必要があります。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3zThCTr

 

ラブラドールレトリバー  11歳、オス(未去勢)

 

 

【 他院にて難治性の指間炎をステロイドで長期間抑えていたら、背中がひどい膿皮症になってしまった】とのことで来院されました。

 

 

◆◆ 他院において、『 ステロイドの副作用の可能性がある 』と言われて、ステロイドを少しづつ減らしたところ、指間炎が再発し、背中の膿皮症も抗生剤で良くならなかったそうです。

 

 

■ 『 指間炎とは、指と指の間や、肉球の隙間に何らかの原因で炎症が起こる病気 』です。 原因は、外傷(植物混入も含む)や皮膚病、火傷、爪の疾患などが多いですが、犬は違和感から噛んだり舐めたりしてしまうため完治が難しい病気です。

 

 

 

■ ステロイド(副腎皮質ホルモン:プレドニゾロンなど)は上手に使うと抗炎症作用が見られますが、処方量が多すぎると体内の免疫まで抑えられてしまい、膿皮症のような細菌感染が発症してしまう場合があります。

 

◆◆ また、ステロイドを多く使う事によって、医原性クッシング性皮膚病という病気になる事があります。 この状態になると、皮膚が薄くなったり、皮膚に石灰のように固いものが出来てしまったりする時、この病気を疑います。

 

 

■ 実は、この医原性クッシングという病気になった事に獣医師が気付かないで、『 皮膚病が治らない 』 と転院されてくるワンちゃんも散見します。

 

◆◆ このワンちゃんの場合、ステロイドで指間炎は一旦は抑えられていたので、アレルギー性疾患等の何らかの炎症が関係していると考えられました。 しかしながらステロイドは使えないので、今回は【ステロイド以外の抗炎症剤を使って抑える】ことができました。

 

 

■■ 膿皮症は細菌感染によるもので、一般的には抗生剤を使って治療します。 しかしながら近年、抗生剤に対する耐性菌が増えてきていて、良くならない場合も多々見られます。 そこで今回、病巣の菌培養を実施して、検出された菌に有効な抗生剤を調べて、その抗生剤を使うことで膿皮症も良くなりました。

 

 

■ ステロイドは上手に使うと炎症を抑える良い薬ですが、使い方を間違えるといろいろな副作用も出てしまいます。 ステロイドの使い方でご不安な方は当院までご相談ください。

 

 

 

獣医師 天野雄策

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