【こんな症例も治りますシリーズ 404】 ネコちゃんの高齢期に見逃しがちな 甲状腺機能亢進症 も適切な診断と治療で治します

イラストの中央に縦長の気管があります。その右側の大きくなった楕円形のモノが、機能亢進症の甲状腺です。
このイラストの猫ちゃんにとっては、左側の甲状腺です。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3eLP72N

 

 

ネコ、13歳、オス(去勢済)です。

【 空腹時に吐く、最近、食欲はあるのに体重が減ってきた 】とのことで来院されました。

 

 

■ 早速、血液検査とレントゲン検査をさせていただきました。 血液化学検査の結果、肝数値が軽度上昇していました。 また、体重減少の鑑別診断の為、血液中の甲状腺ホルモンの値を測定したところ非常に高い値を示し、甲状腺機能亢進症であることが判りました。

 

 

■ この病気の原因は甲状腺の過形成や甲状腺の良性腫瘍で、高齢のネコちゃんに多く見られます。

 

■ 食欲はあるのに痩せていく、落ち着きがない、下痢・嘔吐、多飲多尿、呼吸が荒い、脱毛、大きな声で鳴く、怒りっぽいなどの様々な症状が出てきます。 そしてこの病気をそのままにすると、心臓や腎臓や肝臓が悪くなっていきます。

 

 

 

■ 治療は、お薬で甲状腺ホルモンの合成を抑えていく、外科手術で甲状腺を摘出する、ヨード制限食事で抑えていくなどがあります。 アメリカなどでは、日本国内では出来にくい別の治療方法があります。

 

■ 今回はお薬で成長ホルモン合成を抑制し、数回の血液検査をしながらお薬量を調整して正常範囲内に下げることが出来ました。 その結果、体重減少や嘔吐も無くなりました。

 

■ この病気はお薬で完全に治すことはできませんので、現在も成長ホルモンの値をチェックしながら通院されています。

 

 

■ ご高齢のネコちゃんで、元気なのに痩せていくといった症状がある場合には、今回の病気が疑われますので、当院までご相談ください。

 

 

獣医師 天野

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