【こんな症例も治ります シリーズ315】突然できた肘のしこり も適切な診断と治療で治します。

犬の左ひじです。 中央の大きな円形が、いわゆるHygromasと言われるシコリです。

参照サイト:

https://bit.ly/35roqtj

 

犬 ボーダーコリー 11歳 メス

 

【 左肘にプヨプヨしたシコリが出来た 】ワンちゃんです。

 

■ お話を聞いてみると、この子は以前から肘を床に打ち付けるようにお座りをする癖があり、常に肘に負担がかかっていたとの事です。

 

■ 肘に大きな傷や痛み等はありませんでしたが、長年の刺激によりそこだけ毛が抜けてしまっていました。

 

■ 超音波をその肘にあてて見てみると、しこりの中身は液体でした。

関節の中は正常で、皮下にのみ液体が広がっていました。

 

■ 細い針を使って溜まった液体を抜き、その液体を顕微鏡で見てみると、好中球(白血球の中でも炎症時に出てくるもの)と、球状の細菌が多数見られました。

 

■ 細菌培養の結果、この細菌は「黄色ブドウ球菌」であることが明らかになりました。

「黄色ブドウ球菌」は、健康な動物の皮膚や鼻の中にもある程度はいる細菌ですが、ケガなどで体の中に入り込んでしまうと、悪さをするようになります。

 

■ そして、そんな「黄色ブドウ球菌」に対抗しようと、免疫細胞である「好中球」が頑張るのです。

 

■ 今回のケースは、

肘を打ち付けてしまうことにより小さな傷ができ、そこから黄色ブドウ球菌が感染して炎症を起こしていると考え、細菌培養の結果に基づいた抗生剤を飲んでもらい、傷の消毒もしっかりしてもらいました。

 

■ また、おうちでは堅い床にはクッションなどをひいてもらい、できるだけ強い刺激がかからないようにしてもらいました。

 

■ 完全に液体が無くなるまで1ヶ月程時間がかかりましたが、通院とおうちでのケアを頑張ってもらったことにより、しこりはキレイにしぼんでくれました。

 

■ 「しこり」の正体は検査してみないと分からない事がほとんどです。

動物さんが気にしていなくても、一度病院で調べてみることをオススメします!

 

獣医師 田中聖心

Page Top