【こんな症例も治ります シリーズ308】 猫の危険な敗血症 も的確な診断と治療を行います。

 

 

 

 

 

猫 15歳10か月 オス(去勢手術済み)

 

【数日前に下痢になり、急に倒れてしまった】というネコちゃんです。

 

■ 身体検査等を実施している時にドロッとした膿尿を排泄しました。

 

■ 状況と検査結果を総合的に判断すると、下痢を起こした時に陰部周りが汚れ、細菌が尿道から膀胱内に入り膀胱炎になり、そこから細菌が全身に回り敗血症(体がバイ菌に負けてしまう病気)になったことで、ショックを起こし倒れてしまったと考えられました。

 

■ 通常体に細菌感染が起こった場合は、体の免疫調節機構により、今回ほどの重度の感染症を引き起こす事は基本的にはないのですが、、、

 

※ このネコちゃんは、以前から罹患している病気の関係で免疫抑制剤を飲んでいたため、異常な細菌感染を全身に起こしてしまったのです。

 

■ 敗血症状態に陥ると、命を助ける事は非常に難しくなります。

 

■ なんとか助けてほしい、という飼主さんの協力の元、院内で行えるモニターを全て駆使して治療をさせて頂きました。

 

■ 特に大変だったのは、敗血症に陥ったことで、血管の中の水分が全部血管の外に漏れ出てしまい、心臓に戻る血液量が足りず、全身に送り出せる血液が足りなくなってしまっていたため、多臓器不全を起こしかけていました。

 

※ そのため、心臓の中の血液の容積と血圧をモニターしながら点滴の量及び使用する薬剤を選択し、治療を行いました。

 

■ 入院3日目くらいから少しずつ血圧管理が猫ちゃんの体内で行うことが出来るようになってきて、入院6日目に奇跡的に帰宅することができました。

 

■ 1年以上前の出来事ですが、今でも元気に通院して下さっています。

 

■ 敗血症という状態は、菌に身体が敗北している状態のため非常に危険なのですが、飼主さんの協力の元、何とか助けてあげられて本当に良かったと思います。

 

■ 単純な下痢でも、今回のように危険な状態に陥ってしまう事もあります。

動物さんの体調の変化があったらできるだけ早く来院されることをオススメします。

 

獣医師 新美綾乃

Page Top