【 こんな症例が治ります シリーズ 207 】 猫ちゃんの前肢の突然の腫れ も的確な診断と治療でコントロールします。

 

 

 

 

 

参照サイト:

https://goo.gl/kLakQ9

 

 

 

 

ネコ 5歳5ヵ月 オス(去勢手術済み)

 

【1ヵ月前から突然右前肢が腫れてきて、他院にて原因不明と診断された。】という主訴で来院されたネコちゃんです。

 

■ 1ヵ月前になんとなく左右の前肢の太さが変わってきて、更にその2週間後には右前肢の爪が肉球に埋もれるまでに腫れあがってしまい、手の組織から液体が漏れ出て、地面に手をつけない状態になってしまったそうです。

 

■ 手を触ると熱感も疼痛もあり、とても辛そうな状態でした。

 

■ レントゲンを撮ってみると、【骨膜反応】という、骨に重度の炎症がある場合や悪い細胞がある場合にでてくる像が見られました。

 

■ また手の腫れに関しては【細胞診】検査をさせて頂くことになりました。 細胞診とは、腫瘤部に針を刺し、針の中に入ってきた細胞を調べる検査です。 手の腫れが、どんな細胞からできているかを見る事で、手の腫れの原因を推定することができます。

 

■ 細胞診では、【悪性腫瘍を疑う】との結果でした。

 

■ 猫ちゃんは患肢をとても舐めて気にしており、床に手を付けれず、既に3本足で生活をしているような状況でした。

 

■ 結果を総合的に考えて、かなり悪性度の高い状態と判断したため、積極的治療の一つとして、患肢の【断脚】および【病理検査】をご提案しました。

 

■ 病理検査とは、手術等で取り出した臓器・組織を調べることにより、病気の確定診断を行う検査です。 確定診断を行うことにより、その後どんな挙動(病気の今後の動き)を示すのか知る手立てになります。

 

■ 断脚と聞くと、手が無くなり生活が不自由になったり、見た目が可哀想、、、と想像されると思いますが、4本足であっても、そのひとつの足に痛みや違和感があり、生活の質を下げてしまっている状況であれば、痛みや違和感を取り除くことによって、その子の生活の質はかなり改善されることもあるのです。

 

■ 今回の動物さんの場合、患肢がかなりひどい状況で臭いもキツクなってきていましたので、飼主様のご意向もあり、断脚をすることとなりました。

 

■ 断脚をし、病理検査を行ったところ、【局所的には強い浸潤性を示し増殖するものの、転移はきわめて稀】な悪性腫瘍の種類であることが分かったので、飼主様とご相談の上、その後は定期的な転移チェックをさせて頂く事となりました。

 

■ 手術後、3本足になってからは今までの痛みや違和感が取り除かれて、お家の中を走り回ったり、ジャンプしたり、大好きなお父さんの後を付いて歩き回っているとのことでした(*^_^*)

 

■ 一言で断脚をする、といっても、見た目が変わってしまう不安、その動物さんは足が無くなってどう感じてしまうんだろう…という動物さんの心に対する不安、たくさんありますよね。

 

■ なので、その動物さんの状況や治療方法を、飼主様と一緒に考えていけたらと思いますので、動物さんのことでお悩みがあれば、お気軽にご相談ください(^_^)/

 

獣医師 新美綾乃

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