【こんな症例も治ります シリーズ283】 ウサギの難治性鼻涙管閉塞 も的確な診断と治療でコントロールします。

ウサギさんの左目です。 小さな矢印(←)が見えると思いますが、そこが鼻涙管の入口です。

参照サイト:

http://ur0.biz/3wUH

 

ウサギ 5歳11カ月 オス(未去勢)

 

【 眼から白い目やにが沢山出ている、涙が沢山出ている 】というウサギさんです。

 

■ こんな症状の場合は、『鼻涙管閉塞』という病気が疑われます。

 

■ 鼻涙管は、目と鼻をつなぐ管で、下瞼(まぶた)の裏側に開いた小さな穴(涙点)から始まり、鼻の穴の奥へとつながっています。 普通は、涙があふれないように、涙が目から鼻に流れる通路になっています。

 

この鼻涙管が細菌などの感染によって炎症を起こして詰まる症状を、鼻涙管閉塞と言います。

 

■ 涙が排泄されないため、いつも涙目になっていたり、涙を流したり、目ヤニがでていたりします。

目の下の毛はいつも濡れて、涙やけを起こしたり、脱毛します。

鼻涙管が細菌感染を起こして結膜炎になったり、逆に結膜炎から鼻涙管に炎症が起こることもあります。

 

■ また、奥歯(臼歯)の不整咬合(かみ合わせが悪い事)が原因で起こることも多く、細菌感染が無くても閉塞を起こします。

 

■ 鼻涙管閉塞の場合の治療方法は、下瞼の裏側に開いた穴に管を通し、洗浄液を通すことで閉塞物を取り除き、流れを良くするのですが、今回のうさぎさんは、完全に鼻涙管が閉塞してしまっており、洗浄液を通すことが全くできない状態でした。

 

■ そのため、まずは細菌感染および炎症を取り除く治療からスタートし、後日鼻涙管洗浄をさせていただいたところ、閉塞物を取り除くことができ、痛みもほぼない状態まで持っていくことが出来ました。

 

■ 鼻涙管閉塞といった病気の予防のためには、

・トイレの掃除をこまめに行い、衛生的な環境を心掛けること

・牧草の最後の方に残っている細かなカスは、うさぎさんの部屋に散らさないこと

が重要になります。

 

■ 涙目、流涙、目ヤニ、涙やけ(目頭近くに脱毛や皮膚の炎症が起こる)、粘りっ気のある白い目やにがでる、といった症状が見られた場合は、放置するとひどくなってしまうことも多いため、早めに来院をオススメします。

 

獣医師 新美綾乃

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