【こんな症例も治りますシリーズ 801】【セカンドオピニオン診療】『 肝臓と脾臓にシコリがあるワンちゃん 』も適切な診断と治療で治します

 

10歳ダックス 肝臓と脾臓に見つかったしこりのお話

 

 

犬 ミニチュアダックス 10歳 オス(去勢手術済み)

 

 

『 他院の健康診断で肝臓と脾臓に小さなしこり(腫瘤)が見つかったので、精査して欲しい 』という目的で当院に来院されました。

 

 

 

 

◆◆ 考えられる原因(代表的なもの)

 

 

・ 悪性腫瘍(血管肉腫、肝細胞癌、リンパ腫など)

 

・ 良性腫瘍(肝細胞腺腫など)

 

・ 結節性過形成(高齢犬でよく出る良性病変)

 

このあたりが主な鑑別診断リストの候補になります。

 

 

 

 

◆◆ 最初に検討していた検査プラン

 

 

■ 最初はCT検査 + FNA(細胞診検査)を行う予定でした。

 

■ FNAはエコー検査機器でシコリを見ながら、細い針で細胞を採取する検査です。

 

 

 

 

◆◆ ただ…今回は

 

 

◆ 『 そのために全身麻酔をかける 』ことに対して、飼い主さんが結構不安を感じていたので、

全身麻酔をいきなりかけずに進める選択肢も提示しました。

 

 

 

◆◆ そこで、まず血液で腫瘍の可能性を評価する検査を実施

 

■■■ 血液の中から腫瘍由来の情報を拾うことで“ がんの可能性 ”を推測できる検査を先に行いました。

 

◆ 結果は『 悪性腫瘍の可能性は低い 』という評価でした。

 

 

 

◆◆ 今回の診断・治療方針

 

■ 血液検査の結果を踏まえ、いきなり麻酔下での積極検査ではなく、まずは

 

【 腹部の超音波検査でサイズの変化を追っていく方針 】

 

として進めることになりました。

 

 

 

◆◆ 補足ポイント

 

 

■ 血液による腫瘍評価検査は確定診断ではなく『 補助診断 』です。

 

 

■ しかし今回のように、麻酔のリスクをできるだけ避けたい場合や、今すぐ侵襲の高い検査に踏み込むべきか判断に迷う状況では、大きな判断材料になります。

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

■ 今回のダックスさんは、

 

 

■ いきなり重い検査に進まなくてもいい状況だと判断できたため、

今後は 定期的なエコー検査でサイズや性状の変化がないか をチェックしていく予定です。

 

 

 

■ 肝臓や脾臓のシコリは、見つかった時点では良性悪性が見た目だけでは判断できないことも多いですが、検査の選択肢はいくつかあります。

 

 

 

■ その子に合った方法で、段階的に進めていけるよう一緒に考えていきますので、気になることがあれば気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師  伊藤雅志

 

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