【こんな症例も治りますシリーズ 788】『 ウサギさんの しつこい首振りなど 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上のイラストは、ウサギさんの耳の断面図です。

■ ピンク色の部分が、中耳です。

■ 黄色の部分は、内耳です。

■ 薄茶の部分は、耳ダニが寄生しやすい『外耳』です。

 

参照サイト:

https://00m.in/iVaRO

 

 

うさぎ ホーランドロップ 5歳 オス (未去勢手術)

 

 

【 『耳をよく掻く』、『頭を振る』 】とのことで来院されました。

 

 

 

◆◆ 診察すると外耳道に赤みと耳垢の増加が見られ、耳鏡で確認したところ耳ダニの存在が疑われました。

 

 

■ うさぎの外耳炎は、耳の入口から鼓膜までの部分で炎症が起こる病気です。

 

 

■ 原因としては

 

 

・ 耳ダニや細菌・真菌の感染

 

・ 耳垢の過剰分泌

 

・ 湿度や不衛生といった環境要因   が挙げられます。

 

 

 

◆◆ 特に耳ダニはうさぎに多く見られる原因で、強いかゆみや耳垢の増加を引き起こします。

 

 

■ 症状としては耳を頻繁に掻いたり頭を振ったりする行動、耳の赤みや腫れ、黒っぽい耳垢の増加が見られ、重症化すると中耳炎や内耳炎に進行し、斜頸や食欲低下を招くこともあります。

 

・ 現在は、あまり見なくなりましたが、昔は耳の中に本のように『層状態』になる重症のモノもあり、聖書も本なので英語では『バイブルパターン』と言われていました。

 

 

 

■ 診断には耳鏡検査や耳垢の顕微鏡検査を行います。

 

 

・ 耳ダニが動いている場合もありますが、中途半端に駆虫薬を使っている影響なのか、耳ダニの虫はいないのですが卵を顕微鏡で発見する場合もあります。

 

 

 

■ 治療は原因に応じて駆虫薬、抗生物質、抗真菌薬などを使用し、耳の洗浄や環境改善も併せて行います。

 

 

・ ウサギさんは、使って良い駆虫薬と、副作用が出てしまう薬品があるので、治療の素人判断は禁止です。

 

 

 

■ 今回のウサギさんは駆虫薬を投与し、定期的に耳の洗浄と再診を行ったところ、症状は改善していきました。

 

 

 

 

◆◆ 飼い主さまがお家でできることとしては、日常的に耳の様子を観察すること、耳を掻いたり頭を振る行動が見られたら早めに動物病院を受診すること、ケージや寝床を清潔に保つことです。

 

 

 

 

◆◆ 多頭飼育の場合は、他のうさぎにも感染が広がる可能性があるため注意することが大切です。

 

 

■ うさぎの外耳炎は、放置すると重症化して生活の質を大きく下げてしまう病気ですが、早期に発見して適切に治療することで改善が期待できます。

 

 

 

■ もし耳の異常が見られたら、早めにご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 木島里衣

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