【こんな症例も治りますシリーズ 775】『 高齢のワンちゃんのクッシング症候群で菲薄化した皮膚のタダレ(褥瘡) 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、猫のクッシング症候群の皮膚が、菲薄になって『 皮膚が文字通り濡れたティッシュペーパーのように剥がれた状態 』です。

 

参照サイト:

https://00m.in/UmKXF

 

 

犬 ミニチュアダックスフンド 18歳 メス(避妊手術済)

 

 

【 クッシング症候群という病気で長く投薬を続けている 】ワンちゃんです。

 

 

 

 

◆◆ 高齢になり横になって寝ている時間が増え、また足腰が弱くなり歩行時に時々バランスを崩して倒れることも増えてきました。

 

 

■ ある日、ワンちゃんの肩の皮膚が炎症を起こしているのに気付き、あっという間に出血も見られるほど悪化してしまいました。

 

 

■ 診察してみると、それは『 褥瘡(じょくそう)= 床ずれ 』でした。

 

 

■ 褥瘡は、長時間同じ姿勢で寝ていることによって皮膚や皮下組織の血流が悪くなり、壊死や感染を起こすことがある病気です。 特に高齢犬では、皮膚の再生力が低下しているため、悪化しやすいのが特徴です。

 

 

 

 

 

◆◆ 褥瘡の治療ポイントは

1. 圧迫を避ける環境作り

 

低反発クッションや体圧分散マットを使い、寝ている間に一点に圧がかからないようにします。
また、2〜3時間ごとに体位を変えることで血流を保ちましょう。

 

 

2. 患部の保護

 

褥瘡部分は清潔に洗浄し、特殊な滅菌ガーゼをあてて保護します。
特殊なガーゼの下には皮膚の湿潤環境を保つ軟膏を塗布し、乾燥や汚染を防ぎます。

 

 

 

3. 感染対策

 

細菌感染の兆候がある場合は抗生剤の内服を開始します。

同時に、消毒は必要最小限にし、皮膚の回復を妨げないように配慮します。

 

 

 

■ 飼い主様はワンちゃんのお洋服の肩の部分にマジックテープでタオルが付け替えられるように改造してくださいました。

 

 

■ おかげで、褥瘡は少しずつ縮小し、赤みも減っていきました。

 

 

 

■ 持病もありますので治りは遅いだろうと予想していましたが、数週間で皮膚はほぼ完全に再生して回復してきました。(クッシング症候群は、体内に副腎皮質ホルモン(通称ステロイド)濃度が高いので、皮膚も菲薄化して傷が出来ると治りにくいです。)

 

 

 

 

 

◆◆ 褥瘡の予防のためには、

 

 

● 柔らかくて通気性の良い寝具の使用

 

● 定期的な体位変換

 

● 皮膚のチェック(特に骨の出っ張った部分)

 

がとても大切です。

 

 

 

 

■ もし皮膚に赤みや腫れ、タダレを見つけたら、早めに動物病院で相談してくださいね。

 

 

 

 

獣医師 新井澄枝

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