【こんな症例も治りますシリーズ 759】『 ワンちゃんとのスキンシップ大切! 乳腺腫瘍もCT検査で転移の有無確認 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、ワンちゃんの骨盤部位のCT横断面画像です。

■ 黄色矢印の部分が、乳腺腫瘍です。

■ 強い白い部分は、骨です。 赤色矢印は、骨盤です。

 

 

犬、ヨークシャーテリア、12歳、メス(未避妊手術)

 

 

【 通院の際の身体検査で、左右の乳腺付近に複数のしこりを確認 】したワンちゃんです。

 

 

◆◆ 飼主様も日々のスキンシップで気になっていたそうです。

 

 

■ 乳腺腫瘍は、特に避妊手術を受けていない中高齢の雌犬に多く見られる腫瘍です。

 

 

■ その多くはホルモンの影響を受けて発生するとされ、5歳以降での発症が増加します。

 

 

■ 腫瘍には『良性』と『悪性』があり、犬の乳腺腫瘍のおよそ50%は悪性と報告されています。

 

 

■ 早期の段階では痛みや体調不良を伴わないことが多いため、飼主様のスキンシップ中の\発見/ がとても重要になります。

 

 

 

 

 

◆◆ しこりの性質を把握するために、以下の検査を実施しました。

 

 

•  細胞診(FNA): 上皮性細胞を多く認め、乳腺腫瘍が疑われました

 

 

•  血液検査:     麻酔リスクの評価を含めた全身状態の確認  →  大きな異常なし

 

 

•  胸部レントゲン:  肺への転移は認められず

 

 

•  腹部エコー:    明らかな内臓転移は認められず

 

 

 

 

■ また、腫瘍の転移の有無をさらに精査するためにCT検査も行いましたが、肺や内臓への転移は認められませんでした。

 

 

 

■ 以上の結果より、『 乳腺腫瘍(転移所見なし) 』と診断し、外科的切除が可能と判断しました。

 

 

 

■ そのため、左右の乳腺の全摘出術を実施することにいたしました。 また、同時に避妊手術も行いました。

 

 

■ 同時に避妊手術を行うことで、今後のホルモン依存性疾患の予防にもつなげています。

 

 

■ 術後の経過は良好で、抜糸時には創部もきれいに治癒していました。

 

 

■ 切除した腫瘍の病理組織検査では一部悪性の腫瘍も確認されましたが、転移の可能性は低いとの結果でした。

 

 

 

 

◆◆ 現在は定期的な健康チェックと、転移を予防するためのサプリメントの内服を継続していただいています。

 

 

■ 再発や新たなしこりの早期発見のために、今後も定期的な健診を続けていきます。

 

 

 

 

 

◆◆ 乳腺腫瘍は特に未避妊手術の高齢の雌犬に多く見られる疾患です。

 

 

■ 早期発見・適切な外科処置を行うことで、良好な経過が期待できます。

 

 

■ 日々のスキンシップの中で小さなしこりに気づくことが、命を救う第一歩になることもあります。

 

 

■ 『これって何だろう?』と思ったら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

 

獣医師 木島里衣

Page Top