【こんな症例も治りますシリーズ 752】『 コッカ―スパニエルの難治性外耳炎(全外耳道摘出手術実施 成功症例) 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、今回の手術前の頭部横断面CT画像です。

◆ 右側の外耳道(黄色矢印)は昨年切除しています。

◆ 左側の外耳道(桃色矢印)は鼓室胞(一対の黒く抜けている部分)の近くの水平耳道で、激しく骨化が起きて閉塞しています。

 

 

犬、アメリカンコッカースパニエル、12歳

 

 

【 以前より慢性的に外耳炎があり、治療を行ってきた患者様 】です。

 

 

◆◆ 昨年は右側の外耳道の全切除術を受けられ、今年は左側の外耳道の全切除術を受けられました。

 

 

 

■ アメリカンコッカースパニエルのような垂れ耳の犬種は、多湿な気候の日本では外耳炎が悪化しやすいです。

 

 

 

◆ 定期的な耳掃除をしていても悪化してしまうケースもあります。

 

 

 

■■ 当院の場合、『 耳道ビデオ内視鏡 』がありますので、通常の古いどの病院でもありそうな『 いわゆる耳鏡 』よりも、とても鮮明な画像で観察が出来、ビデオ動画で観察記録が残せます。

 

 

 

 

◆ これは、飼主様とも情報を共有することが出来ますので、診療の効果を飼主様とのチームを作った形で協力して治療が出来ます。

 

 

 

 

◆ 外耳炎と言っても、複数のパターンがありますので、正確な診断と治療が必要です。

 

 

◆ 特に、人間にも日和見感染といって『 体調が悪い時に感染する 』緑膿菌というバイキンは、抗生物質が効かない多剤耐性菌になっていることが多く、『 以前までの治療方法を行っている動物病院からの転院組は、本当に気を付けないといけません 』。

 

 

 

 

◆ 一か月間治療しても治らない外耳炎は、皮膚科を専門的に学び実践している病院にセカンドオピニオン診療をお願いするのも、一考かと思います。

 

 

 

 

 

 

 

■■ 今回のワンちゃんは、手術前のCT検査で外耳道が骨化してしまっている状況が確認できました。

 

 

 

 

■ 外耳道は、硬い骨ではなく軟骨で形付けられています。 この軟骨が炎症によって厚くなるので、外耳道が固くなり、耳孔の中にポリープが出来たり、穴の直径が小さくなり、感染が起こり易くなり、いわゆる耳の環境が悪くなる『 内科治療では治る事が不可能 』な状態に陥ります。

 

 

 

 

■ また、犬の外耳道は、皆さんが見える穴の入口から、『垂直耳道』 ⇒ 『水平耳道』 ⇒ 『鼓膜』 ⇒ 『中耳』という連続した構造になっているのですが、垂直耳道と水平耳道は『 L字型 』を形作っています。

 

 

 

■ 当院では、初期の外耳道の骨化症例には、賛否両論ありますが『垂直外耳道半切切除術』を行います。 この方法では、術後に水平耳道の耳孔入口が狭窄するのを防ぐことが出来て、その後の加療もしやすい治療方法になります。

 

 

 

 

■ 垂直外耳道全摘手術は、ポリープが激しい時や、耳垢腺がん・肥満細胞腫や耳道内のがんがある場合に実施します。

 

 

 

 

 

◆◆ 外耳道全摘手術は、垂直耳道と水平耳道の療法を切除する手術ですが、顔面神経が耳道の周囲にありますので、ホルネル症候群や顔面神経麻痺などが起こり易い手術です。

 

 

 

 

■ しかし、当院では注意深くその部位の手術を行いますので、そのいずれの重篤な副作用も起こしたことはありませんので、安心してください。

 

 

 

 

■■ この子の手術も、計画通りに無事成功し、術後の経過も良好です。

 

 

 

■ 長年の定期的な通院からも解放されて、飼主様にとても喜んで頂けました。

 

 

 

 

◆◆ 外耳のトラブルでお困りの場合、是非ご相談ください。

 

 

 

 

 

獣医師 木島里衣

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