【こんな症例も治りますシリーズ 751】『 偶然見つかった脾臓の腫瘍。 CT検査が命を救った症例 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、この子の脾臓腫瘍の腫瘤部とCT画像です。

◆ 左の写真には、脾臓の中央に切れた部分がありますが、これは脾臓の中の状態を確認するためにメスを入れた傷痕です。

■ 右の写真は、CT画像で『 脾臓の脾頭部に、腫瘍(黄色矢印)がある 』と診断出来ます。

 

 

 

犬 W.コーギー 5歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 前足のしこり 】が気になるとのことで、来院されました。

 

 

 

◆◆ 今回の患者さんは、前肢にしこりを発見したということで来院された5歳のコーギーくん。

 

 

■ 触診では、比較的柔らかい皮下腫瘤が確認されました。

 

 

■ より正確な診断のために手順を踏んで、CT検査を行うことにしました。

 

 

 

★★★ 【 偶然見つかった脾臓腫瘤 】

 

 

■ CT画像を確認すると、前肢のしこりとは別に、脾臓に明らかな腫瘤を発見しました。

 

■ 飼主様も驚かれていましたが、これは無症状の偶発的な発見でした。

 

■ 画像診断では、骨髄脂肪腫の所見が見られ、『 脾臓破裂のリスク 』も考慮される状態でした。

 

 

 

★★★ 【 前肢のしこりは、良性の脂肪腫 】

 

 

■ なお、主訴であった前肢のしこりは、細胞診検査から『 筋肉と筋肉の間にできる「筋間脂肪腫」 』と診断し、良性で進行もゆっくりなことが多いため、まずは脾臓の腫瘤を優先して処置する方針としました。

 

 

 

★★★ 【 脾臓の開腹手術を実施 】

 

 

■ 麻酔前の全身検査でも問題は見られなかったため、速やかに『 脾臓摘出手術(脾臓全摘術) 』を実施。

 

■ 病理組織検査の結果、やはり『 骨髄脂肪腫 』という診断でした。

 

■ この腫瘍は、非常に『 もろく出血しやすい性質 』があり、破裂すると命に関わる緊急状態となることもあるため、早期に発見・摘出できたのは非常に幸運だったと言えます。

 

 

 

★★★ 【 CT検査の大切さ 】

 

 

■ 今回のように、他の部位の診断のために実施したCT検査で、思いがけない病変が発見されることがあります。

 

■ 特に脾臓の腫瘍は、無症状のまま進行し、突然の出血やショック状態で発見されることも多いため、定期的な画像検査の重要性を改めて感じさせられました。

 

 

 

★★★ 【 まとめ 】

 

 

■ 主訴は前肢のしこり(良性脂肪腫)。

 

■ 偶然、脾臓に骨髄脂肪腫を発見。

 

■ 出血リスクの高い腫瘍だったが、早期発見により無事摘出。

 

■ CT検査の有用性と、全身のチェックの重要性を実感した症例でした。

 

 

 

◆◆ 気になるしこりがある場合、『 とりあえず様子を見よう 』と判断せず、検査によって他の病気が見つかることもあります。

 

 

◆ どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

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