【こんな症例も治りますシリーズ 728】『 溶解できない犬の膀胱結石 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、内服療法では溶解できない結石の代表的な膀胱結石です。

■ 左上は、シュウ酸カルシウムの丸石タイプ。

■ 左下は、シュウ酸カルシウムのトゲがあるタイプ。

■ 右の金平糖状は、シリカ結石です。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/WqewT

https://00m.in/mnZDy

https://00m.in/UhLGB

 

 

犬 ミックス(マルチーズ×トイプードル)犬 5歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 血尿 】で来院されました。

 

 

◆◆ この子は以前から膀胱結石があり、ご飯やサプリメントで溶けることを期待して治療していましたが、改善せず血尿を繰り返していました。

 

 

■ そこで、今回は内科治療を諦め、手術によって膀胱結石を摘出することになりました。

 

 

■ 膀胱結石の手術は治療前後の検査が重要になります。

 

 

 

◆ 『 膀胱内に結石が何個あり、大きさはどの程度なのかを正確に把握する事 』で、結石の取り残しを防ぐことが出来ます。

 

 

■ 手術直後にもレントゲン撮影をすることで確実に取り切った確認をすることが大切です。

 

 

■■ 今回は、摘出した結石を分析すると内科的には溶けない結石(シュウ酸カルシウム)だった為、再発しないようにしっかり予防していくことが大切になります。

 

 

 

 

### さて、最近、○○天然水や、『のむシリカ』などが、広告でも良く目にするようになりました。

 

 

 

■ 全くそのメーカーの営業妨害をするつもりはないですが、『 実は、シリカ含有水は膀胱結石の発生率が高くなる 』と言う事実だけをお伝えしたいのです。

 

 

■■■ 人間では大したことが無いシリカ濃度でも、ワンちゃんには以下のような研究論文がありますので、『 人間用のシリカ水 』はワンちゃんに飲ませないようにしましょう。

 

 

★ 2011年の鹿児島大学獣医学科の研究チームが、次のような論文を発表しています。

 

◆◆◆ 『 シリカ結石はイヌではまれな尿石とされている。 今回、我々は鹿児島県を中心にシリカ尿結石について疫学調査を行った。 その結果、鹿児島県内の獣医師やオーナーに対するアンケート調査において、鹿児島県を中心とする地域でシリカ尿結石が多くみられ、その発生の要因として飲料水との関係が示唆された。 そこで鹿児島県内の水道水中のシリカ濃度を測定したところ、他地域と比較して著しく高値を示した。 またミネラルウォーターについても同様に、鹿児島県が採水地の製品でシリカ濃度が高値のものがあった。 実験的にシリカを高濃度に含む水道水の飲水により尿中シリカ濃度の上昇は見られなかったが、疫学調査から、シリカ濃度の低い水を飲水として使用することがシリカ結石発生の予防となると推測した。 』

 

(ペット栄養学会誌 14 (Suppl), Suppl_73-Suppl_74, 2011 日本ペット栄養学会)

 

 

 

■■ 実は、『 大和市のある地域 』を中心に、『 シリカ膀胱結石 』が良く発生していた時期がありました。

 

 

★ 井戸水を飲ませている犬に多いとされているシリカ結石ですが、形が金平糖のように尖がっているので、ワンちゃんの膀胱壁を傷めてしまい、本当に痛そうな膀胱炎を起こします。

 

 

★ ちなみに、このシリカ結石も『 内科治療では溶けない成分で、外科手術での結石摘出しかない 』とご理解ください。

 

 

■ 研究論文データから申し上げたアドバイスですので、営業妨害ではございません。 ご理解の程よろしくお願いいたします。 『ある地域』について知りたい方は、ご来院下さい。

 

 

 

 

 

獣医師 冨田浩平

 

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