【こんな症例も治りますシリーズ 702】『 セカンドオピニオン診療 : 犬のアトピー性皮膚炎 』も適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、柴犬が耳を搔いている状態です。

■ アトピー性皮膚炎は、外耳炎や足先が痒くなる事が多いです。

 

 

参照サイト:

https://00m.in/SznRm

 

 

犬 3歳 柴犬 オス(去勢手術済み)

 

 

 

【 痒みが治らない、脱毛が広がってフケも出てきた 】とのことで来院されました。

 

 

 

 

◆◆ 飼い主様からお話を伺ってみると、4ヶ月くらい前に皮膚の脱毛(特に脇腹)、痒みがあることから近院で見てもらったところ、「皮膚炎」と言われ塗り薬を渡されたけれど、全然良くならず、逆に、目の周り、脇腹、股の間に脱毛が広がり、皮膚は黒い色素沈着と脇腹と股の皮膚は硬くなってゴワゴワになりフケも出始めたとのことで来院されました。

 

 

 

 

■ 痒みを伴う皮膚病としては膿皮症、疥癬症、マラセチア症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎が考えられますが、診断にあたって重要なことは、現在発現している症状に感染症がどの程度、関与しているかを評価することです。

 

 

 

◆ そして、感染症が除外されて初めてアレルギーが関与する「食物アレルギー」と「アトピー性皮膚炎」との鑑別診断に移りますが、両者を鑑別するのは難しいと言われています。

 

 

◆ ただ、発症時期(年齢、季節等)、好発部位、食事の関与などから診断の可能性を探ります。

 

 

 

■ さて、このワンちゃんの場合、当院で完全な身体検査及び皮膚検査を行った結果、細菌性や寄生虫性皮膚炎の可能性は除外されました。

 

 

 

◆ したがって、残るのは「食物アレルギー」か「アトピー性皮膚炎」ですが、症状の好発部位(目の周り、脇腹、股間)、3歳からの発症、そして食事内容に変化は見られないことから、「アトピー性皮膚炎」と仮診断しました。

 

 

■ アトピー性皮膚炎は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)が存在し、そのアレルゲンが皮膚のバリア機能(防御力)の低下により体内に侵入することで発症すると言われていますが、病態の詳細や画一的な治療法については確立されていないのが現状です。

 

 

 

◆◆ 今回の場合、まずは、痒みを止めて、ワンちゃんのQOL(生活する上での質的向上)をあげること。

 

 

 

◆ そして、原因となっている抗原を見つけ、それを回避することで根治療法につなげることですが、これについてはアレルギー反応試験を実施してもアトピー皮膚炎と一致するIgE抗体を検出できない症例もあることから、今回は皮膚のバリア機能の向上に注目して、治療を進めることにしました。

 

 

 

■ 具体的には、かゆみ止めとしてアポキル、また皮膚のバリア機能を向上させる効果を持つ療法食を処方して、経過観察することとしました。

 

 

 

◆ その結果、2週間後、来院してもらうと、痒みは全くなくなり、また、脱毛の広がりも止まって皮膚症状が改善されていました。

 

 

 

 

◆ さらに、2週間後には、眼の周り、脇腹、股の発毛、皮膚の黒い色素沈着やフケも消失し、ほぼ状態に戻っていました。

 

 

 

 

■■ アトピー性皮膚炎は、原則、根治させることは出来ないと言われています。

 

 

 

■ このワンちゃんの場合も、また、何らかの原因で再発する可能性は否定できません。

 

 

 

 

■ 痒み止めとスキンケアを中心に、再生医療やオゾン治療も考慮に入れながら、各症例に応じた治療計画が必要となります。

 

 

 

■ これからも、飼い主様と一緒になって動物さんの健やかな幸せを考えていければと思います。

 

 

 

獣医師 泉 政明

 

 

 

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